最初読んだとき、濁流のように溢れる絵文字と顔文字に圧倒され「こ、これは小説……なのか?」と思ったのが正直な感想です笑
だけど、気づいたらどうでしょうか、現行の77話まで読んでしまったじゃないですか。
物語の途中で完結という話をされてる部分もありましたが、リアタイで読んでいたら 50話の完結で「ああ、スピネル要素がほしい……こんな終わり方は嫌だ……」となっていたに違いありません。
何故なら、絵文字や顔文字を多用したハイテンションな「新文芸」的ライトノベルでありながら、その実、論理と計算された構造の上に成り立つ、構造作品だったからです。
物語全体を支配する「ルールの徹底」と、それを覆すための「構造的アクロバット」の鮮やかさです。
伏線という名の「運命の脚本」
序盤、アイドンの神社で引かれた「おみくじ」のシーンでは初読時は単なるギャグシーンとして笑って読み過ごしていました。
だけど、物語が終盤へ進むにつれ、あれが単なる占いではなく、キャラクターが絶対に逃れられない「運命の脚本」として機能していたことに気づきました。
マイテの「顔に手を近づけると危険」、 みことの「死に物狂い」、 そしてカクハイの「強極冠」。
これら全てが、グラデ王国での最終決戦における「ゾンビ化」「一度目の死」「覚醒」という形で、残酷なまでに正確にプラントペイオフされたときは、やられたなと思いました。
行き当たりばったりではなく、最初からこの結末が盤上に置かれていたという事実に、深い敬意を表します。
また、読者の呼吸をコントロールするペース配分も見事でした。
象徴的なのは、「77,777段の階段滑走」と「棺の上のマイテ」の対比です。
前者の、擬音と絶叫がページを埋め尽くす圧倒的な「疾走感」で読者を翻弄した直後、船旅の夜のシーンで訪れる、シーンとした静けさは動きのないレイの棺にマイテがただ寄り添うシーンにおいて、私はテキストから「音のない空間」を感じました。
この落差が計算されているからこそ、マイテの小さな寝言や祈りが、痛いほど伝わってきました。
非言語領域での「解釈の一致」
個人的に最も印象に残ったのは、みこととマイテが錆びた猫缶を分け合うシーンです。
あそこで過度な言葉を交わさせず、「視線」と「沈黙」だけで二人の覚悟を描き切った演出に、作家のキャラクターへの深い信頼があるんだなと推察しました。
また、物語全体を通して「最中」というアイテムが、単なる回復薬や報酬としてだけでなく、平和や絆の象徴として一貫して描かれている点にも、細部への並々ならぬこだわりがありました。
そして何より、第50話の結末からから第5章への転換です。
物語内部のロジックに従えば、あそこでOO(ネタバレ防止)することは避けようのない「必然」でした。自身が作った残酷なルールを、安易な奇跡で曲げようとはされませんでした。私と似たような構造作家としての矜持があると思いました。
だからこそ、その外側にある「メタフィクション」という上位構造を使ってそのルールを書き換えた展開には、納得感がありました。
「物語の登場人物にはどうしようもないが、物語の外側にいる者なら救える」
という言葉は、この作品がライトノベルであることを逆手に取った、発明的な解決策だと思います。
「I'm sub mother!! alcohol 0%」
ニャーケが残したこの言葉通り、この作品は刺激的な外見の中に、純度100%の愛と、計算し尽くされた構造が詰め込まれていました。
とても学びのある作品でした。
読みながら、気がついたらクスッとしていました。
文章が“情報”ではなく“勢いとノリ”で動いていくので、普通の読み物とはまったく違うリズムで楽しめます。
私にとっては初めて触れるタイプの物語なのですが、
作者さんが誰より楽しそうに世界を遊んでいることだけは、強く伝わります。
みことのキャラがとにかく素直で、人に愛される主人公ですね。
もなかを食べるシーンの無邪気さがすごく印象に残りました☺️
動画と小説が行き来する独自のスタイル、
そして60話以上続いている創作への情熱に、素直に脱帽です。
次はどんな展開になるのか、ワクワクしながら読ませていただきます。
奴隷国家「やしま」で育った少年・威能命(みこと)。十年の修行を経て鎖を断ち、自由を掴む。辿り着いた猫人の島で出会った“もなか”は、甘く、そして村人たちにとっては希望の味だった。拳と魂で世界を変える、少年の異世界譚。
――ここからは第3章途中までのレビューです。
物語は小説というより台本のような構成で進みます。
「台本形式? じゃあ読むのやめようかな」と思った方、ちょっと待って。
これは作者さまが選び抜いた物語のかたちなんです。
映像と音を想起させる文体リズム、アニメーションのようなテンポ。
そして何より、書くことを全力で楽しんでいる気配がページの隅々から伝わってきます。
シナリオを読んだ後にアニメ動画を見る。動画の後、文章で追う。
お好きな方で。楽しみ方が広がる試みだなと思いました。
「ファソー・スピネル」――その名が指すものが、いつかすべて揃う瞬間を楽しみに、物語を追っています。
奴隷の少年・威能命が自由を求めて旅立つ物語。
拳一つで運命を切り開く姿はまっすぐで力強い!
この作品の特徴は、文章そのものがとても生き生きしていること。
本文の中に絵文字が織り込まれており、その配置やリズムが、まるでアニメの動きや音を思わせます。
文字だけでここまで映像的に感じられる小説は珍しく、読むというより“体感する”作品といえるでしょう。
さらに現在、アニメ版が制作中とのこと(すごい!)
物語が本当に“動き出している”ことを感じられるのも嬉しい驚きです。
この世界がどこまで広がっていくのか――最中みたいに、甘くて熱い展開が待っていそうです!
この世界ではない、どこかの異世界。
そこには――「やしま」と呼ばれる島国があった。
だがその国は、夢も自由も許されぬ奴隷国家だった。
子どもであろうと容赦なく鉄鎖に繋ぎ、心を砕き、体を搾り取る。
だが、ひとりだけ――希望を捨てなかった少年がいた。
名は、威能命(いのう みこと)。
10年間、拳を鍛え、心を折らずに耐え抜いたみことは、
ついに鎖を断ち、壁を砕き、絶望の檻をぶち破る。
向かった先は、猫人族が住む「アニガハ島」。
砂浜で倒れた彼を救ったのは、黒頭巾の奇妙な男。
彼が差し出したのは――甘く、尊く、あたたかな「最中」だった。
初めて食べた「幸せの味」。
だが、それはただの菓子ではなかった。
やがて明らかになる。最中に託された村人たちの祈りと、重すぎる代償が。
仲間、絆、裏切り、そして圧政。
甘味を食べたその日から、少年の運命は動き出す。
これは、
拳と魂で世界を変えようとする少年の、異世界物語。