概要
夢を見て悲鳴を上げて産まなくちゃ
今日も無精卵を産む。
そしてお菓子にしてしまう。
いつか有精卵になりますように、夢を見て。
そしてお菓子にしてしまう。
いつか有精卵になりますように、夢を見て。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!終末でも甘い夢は消えない卵の独白。
『夢見る無精卵』は、世界の終わりが視界の端にちらついても、台所の明かりと甘い空想だけは消えない、そんな一人語りの短編だ。語り手は、産み落とした水色の卵を両手で受け止め、その温かさと色の美しさに見入る。空でも海でもなく、南洋やターコイズを思わせる青が、自分の赤い肉と血から生まれる不思議。その感嘆が、すぐさま菓子作りの想像へ滑り込む。ブルーベリーマフィン、雲みたいなシフォン、背徳のデビルズケーキ、ダークラム酒を振ったパウンドケーキ。痛みと恐怖をくぐった分だけ、甘さの計画が切実に輝き、読者の鼻先に焼き菓子の匂いまで立ち上がってくる。
印象に残るのは、恋をした後に得た「鴇色の卵」をめぐる場面だ…続きを読む