完結済みにするの忘れていたので、おまけ

「家まで、競争する!」と駆け出した姉と、「もう疲れちゃった」とへたりこむ弟に挟まれて疲弊した俺は、レオニアス様のそばに座り込んでしまった。

 子守りって、すごくハードなんだな。


 ちらり、と涼しげに微笑む老執事を見上げる。

「俺が来るまで、どうしてたの?」

 由緒ある大貴族である。使用人はたくさんいるはずだが、いつも顔を合わせる面子は決まっていて、この執事はそのひとり。

「ふふふ、老骨に鞭打って、お庭を走り回っておりましたよ」


 本当に?

 いや、絶対になんか秘密があるだろ、この爺さん。


 騎士のひとりが、アルナール様のあとを追い駆けている。

 執事は、面白そうに目を細めてそれを眺めている。

「あまりの運動量の多さに、音を上げる現役騎士もいるんですよ。まぁ、魔物との戦いと、お子様方との戦いは、また別物ですからねぇ」


 俺は、深くうなずいた。

 この人、「お子様方」って言ったぞ。

 つまり、ふたりともに手を焼いていたんだな。


「頼もしい仲間が増えて、わたくしは嬉しゅうございます。一緒に頑張りましょうね、ミラーノ坊ちゃん」

「……勝手に仲間にするなよ」

 と文句は言ったものの、彼の差し出した手を取り、立ち上がる俺。


 どうにかレオニアス様を励まして、ふたり一緒に駆け出す。

 仲間がいれば、野ザルの背中を追い駆けるのも、結構楽しいかもしれない。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

受難は、コーヒーの香りとともに 路地猫みのる @minoru0302

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画