概要
ほら、来た。あんた、もう人には戻れんよ。
あの日、俺は呪われた。それ以来、人が人に見えない。
《刑事》として、人の心の闇を覗いてきた。闇を理解するために、犯罪者の思考を追い、心を観察し、その中身を掴むために古今東西の心理学を貪欲に学んできた。そして、俺は正気と狂気の境を突き崩していった。
今思えば、狂気に半歩足を踏み出し、バランスを取りながら人間として振る舞っていたのだろう。
その果てに、俺は人の心は《穴》だと看破した。その穴には階層──《深度》がある。俺はその最深部まで潜り切った。そう思っている。
そうだ。思っている。何故なら、この深度に降りている他人を俺は知らないから。
そこは《生の衝動》だけの世界。人の心の根。全ての理由が一つにまとまる人格の中枢。色々言葉を考えて存在核とか言ってみたこともあるが、内心ではこう呼んでい
《刑事》として、人の心の闇を覗いてきた。闇を理解するために、犯罪者の思考を追い、心を観察し、その中身を掴むために古今東西の心理学を貪欲に学んできた。そして、俺は正気と狂気の境を突き崩していった。
今思えば、狂気に半歩足を踏み出し、バランスを取りながら人間として振る舞っていたのだろう。
その果てに、俺は人の心は《穴》だと看破した。その穴には階層──《深度》がある。俺はその最深部まで潜り切った。そう思っている。
そうだ。思っている。何故なら、この深度に降りている他人を俺は知らないから。
そこは《生の衝動》だけの世界。人の心の根。全ての理由が一つにまとまる人格の中枢。色々言葉を考えて存在核とか言ってみたこともあるが、内心ではこう呼んでい