概要
時を遡ること24年。
12歳の聖公爵家息女ジュリア=ルシーヌは、オレニア大公世子プトレメウスを最強の魔導師にすべく、あらゆる手段を用いて彼を高みに引きあげようと画策していた。彼女自身の恐ろしい秘密から、愛する者を守るために。しかしそれは、やがて意図せぬ呪詛へとプトレメウスを引きずり込む。
英雄はなぜ老いないのか
神に愛された聖公爵はなぜ死んだのか
〈大災厄時代〉はなぜ終わらないのか——
これは、どこに
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!圧倒的筆力で描かれる英雄の圧倒的な強さと、瞳の奥の深い虚無に魂が震える
圧倒的な筆力に脱帽。
序章の神話的な重厚感から一転、第一部の息をもつかせぬファンタジー巨編への幕開け、この流れは見事で鳥肌もの。
特にシビれたのは、英雄・プトレメウスの圧倒的な強さと内面の底知れない虚無のギャップだ。フランクの視点から描かれる、紫の稲妻とともに魔物を一瞬で消し去る異次元の強さ。そこからのゾフィー視点で明かされる、二十代の美青年の姿のまま老いることのない絶望を瞳に宿した静かな佇まい。
この対比が本当に見事で、彼の背負う数千年の孤独と、これからの大災厄時代への予感が、ゾフィーの身体の奥に龍を飼っているという最高に痺れる言語化によって、読者の胸にダイレクトに突き刺さる。 - ★★★ Excellent!!!英雄として在り続けることの痛み
〈光の黒龍〉 ことプトレメウスが持つ複雑な人物像が、過去と現在、自己と他者の視点から、多角的に描かれた作品です。
埋もれた遺跡を時間をかけて掘り起こすような、独特な表現手法が本作最大の魅力だと思います。
カクヨムに掲載されている他作品とは、毛色が大きく異なる本作。
とりあえずは、「みんな大好きコスタス君」が活躍する、『謎の神殿事件』まで読み進めることを強くおすすめします。彼と〈光の黒龍〉の、面白いやり取りを知らないままでいるのは、非常にもったいないです!
プトレメウスが今日まで続く”痛み”を抱えることになった経緯、過去に生きたジュリアの謎めいた思惑など、隠された秘密が今後少しずつ明らかに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛を選んだ英雄は、咎を背負い、ただ戦い続ける……
アレクサンデル その3まで読み進めた時点でのレビューになります。
「綻び」と呼ばれる魔界の門が発生する世界ユーフラニア。その綻びに立ち向かう一人の男がいた。
男の名はプトレメウス。黒龍の剣を振るい、魔物、古の魔女と言った強者と戦い続ける彼は、まさに英雄。
英雄という強き光に付きまとうのは、嫉妬と言う名の黒い影。
魔道宮殿という名の伏魔殿には、黒き影が蠢いている。その影から一人の刺客が放たれた。刺客の名はコスタス。
次から次へと襲い来る脅威。それでもプトレメウスは戦い続ける。彼を支えるのは正義か?責務か?贖罪か?
彼の過去にチラつく美女ジュリア。彼女の存在はプトレメウスにとって何な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絶望の淵で、彼らは何を支えに生きるのか。息を呑む極上のシリアス群像劇
一度読み始めたら、彼らの過酷な運命から目が離せなくなります。
緻密に練られた剣と魔法の描写も素晴らしいのですが、何より胸を打つのは、シリアスな群像劇の中で浮かび上がる登場人物たちの「欠落」です。
愛する者を喪った者。
自由と誇りを奪われた者。
人としての平穏を持てない者。
彼らは皆、埋まらない穴を抱えながら、それでもみっともないほどの意地や、重すぎる贖罪、ただ一つの哀しい決意を支えにして、残酷な世界を生き抜こうと足掻いています。
物語の謎が明かされていく興奮と同時に、傷ついた魂たちが交差するたびに生まれるヒリヒリした感情の揺れに、何度も心を掴まれました。
深く重い人間ドラマを読みたい方…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重く、静かに沈んでいくファンタジー
古き良き物語のような神話的な導入から始まるファンタジー。
重く、静かで、張り詰めた空気のまま、物語の奥に沈んでいきます。
〈光の黒龍〉という存在がとても印象的でした。
英雄でありながら欠落や傷を抱えていて、圧倒的な力の裏にある喪失がずっと残る。
ジュリアの、人ではない気配を帯びた美しさも惹かれます。
そして私が好きだったのはコスタスです。
〈光の黒龍〉の監視役の魔術師ですが、とにかく人間くさくて、口が悪くて、不躾で。
作中一番、頭の中が賑やかです。
でもその率直さがすごくよくて、出てくるたびに少し空気が動く感じが好きです。
〈光の黒龍〉とジュリアが人間離れしている分、彼の人間くささがい…続きを読む