このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(158文字)
主人公である白銀の少女ネヴェを巡る物語かと思いましたが、どうやらそれだけではない。様々な思惑がからみあい、物語というより歴史のなかのひとつの流れを見ているような気がします。作り込まれた設定は少し難しいものもありますが、読み解くうちに面白さが増していきました。序盤から中盤に差し掛かったところで、物語が加速し、主人公ネヴェがこの先どうなっていくのか気になってしまいます。気が付くとページをめくってしまう……まだまだ続くのだと思いますが、この先の展開も期待です!
創世神話の格調高い文体から一転し、人間の欲と歪みを突きつける導入が非常に強烈。季節神の誕生譚は詩のように美しく、世界そのものに“弔い”の気配を与えている。第一部序では、少女の沈黙と男の醜悪さの対比が痛烈で、読者に不快と恐怖を意図的に刻み込む筆致が印象的。この物語が「救い」ではなく「見届ける物語」であることを、静かに宣言する始まりだと感じた。