第5話:夜明けのプロポーズと佐藤菜々美
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# ショートノベル:【応戦】という名のロマンス
## 第5話:夜明けのプロポーズと佐藤菜々美
### 1.二度目の挑戦と「あさと昼の間に」
アサヒ先生による突然のブロックと、別作品での「夕日」としての接触は、七海姐さんの闘争心に火をつけた。
「熱狂を終わらせたと思っていたのね?ふん、私をナメないで」
七海は、アサヒ先生が「夕日」アカウントでコメントを残した詩集に、**渾身のカウンター**を叩き込んだ。
> **七海姐さん:** 初めまして、「夕日」さん。私のコメントを読んでくださって光栄です。ちなみに、夕日さん。**朝日は、もう昇らないんでしょうか?**
これは、アサヒ先生のペンネームの繋がりを指摘する、決定的な一撃だった。七海は、彼がこの「夕日」アカウントで何を仕掛けてくるか、息を飲んで待った。
だが、数時間後、七海が「夕日」のページを再確認すると、そこには**「ユーザーが見つかりません」**の表示があった。アサヒ先生は、七海が真実を突いた途端、二度目のアカウントごと、潔く自己消滅させたのだ。
「二度も消えた……!私が、先生の『夕日』を終わらせてしまったの!?」
七海は、笑いと呆れで全身が弛緩するのを感じた。あまりにも理不尽で、あまりにも美しい幕引きだった。
### 2.現実世界での邂逅と「太陽」の全貌
七海が、このカオスな応戦劇の結末を諦めかけていたその時、物語は現実世界へと飛び出した。
七海はコンビニでレジに並んでいると、前の客が顔を上げた。ラフな格好の青年。そして、七海と目が合った瞬間、彼は心底驚いたように固まった。
「……すみません、?どこかでお会いしましたか?ふふ」
その声のトーン、わずかな動揺。七海は確信した。
**「会いましたわよ。随分、色々な場所で。……あなた、もしかして、最近、ペンネームを変えるのが趣味になったのかしら?」**
七海が「やんのか、コラ?」というあの時の熱量を込めて問い詰めると、アサヒ先生は顔を真っ赤にした。
「し、七海姐さん……!?」
彼は七海の手を取り、カフェのイートインスペースを指差した。そこで、彼はオンライン上では見せなかった、真摯な顔でプロポーズする。
**「七海さん。結婚しませんか?」**
そして、七海が「つまんない本名かも」と呟いた瞬間、アサヒ先生は照れくさそうに告白した。
**「僕の名前は、朝比奈 陽一(あさひな よういち)です。朝日、夕日、あさと昼の間に……全部、君が僕の光だったからです」**
### 3.永遠の応戦の約束
全てが繋がった。彼は、七海姐さんとの応戦のために、自らの名前を光の軌跡に見立てていたのだ。
七海姐さんは大爆笑し、アサヒ先生の手を握り返した。
「陽一先生。あなたのフットワークは軽すぎるわ!でも、その執着、嫌いじゃない」
七海は、**「佐藤菜々美」**としての自分を解放し、最高の笑顔を見せた。
**「その『七つの海』を渡りきる船長に、私を任命してくれるんでしょうね?」**
陽一は、彼女の目を見て、静かに、だが力強く答えた。
**「もちろんです。僕の人生の全てが、あなたへの『応戦』ですから。永遠に」**
こうして、誤爆から始まった二人の熱狂的なコミュニケーションは、現実世界での「結婚」という、最も真剣な「応戦」の約束へと形を変え、物語は幕を閉じた。
**― 全五話 完 ―**
『応戦』という名のロマンス:ブロックされたら、神作家がプロポーズしてきた 志乃原七海 @09093495732p
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