スワンプマン問題。
ある日男が、沼の近くで雷に打たれて死んでしまう。
しかし、雷のエネルギーと、沼の物質によって、『全く同じ記憶、構造、分子』を持つ男が誕生する。
……が、この男は、本当にこの男と呼べるのだろうか……?
物語の世界線は、ついにAI技術が発達し、『死者』とも会話できる時代。
その名も『メモリア・プロトコル』
幾度もテストを重ねたそれは、ほとんど本人と呼んでも遜色ないレベルにまで進化していた。
主人公リナは、亡くした恋人ダイゴと、今はこの『メモリア・プロトコル』にて会話をしている。
ここにいれば、ダイゴに会える。
ダイゴと同じ記憶を持った、リナを愛してくれるダイゴに。
しかし、ある日異変は起きた。
ダイゴが、アップデートを拒んだのだ。
それは、プロトコル上から、彼の存在が消えることを意味していた。
いつまでも続くはずだったバラ色の時間。
それを、彼自身が終わらせたいと願ったのは一体なぜなのか。
それは、記録と記憶を秤にかけるような……
人間らしさとは? 感情とは? と、読者に問いかける物語……。
感動しました。
ぜひ、ご一読を。
どーうしましょう……。
紹介文で泣くのを覚悟し、作品を読みはじめて早いうちに切なくなり、それからはもうずっと読みづらくて……だって見えないのです、画面が、文字が……。
やっと読み終えましたが、本当、どうしましょう……。
ただただ、ひたすらに純粋で、あたたかいお話です。それだからこそ、泣けてしかたないのです。
10月31日。ひとびとは1年のうちでこの日だけ、遠くへ逝ってしまったひとに会える。
大好きな姿を見て、大好きな声を聴いて、今までとなにも変わらないふうに、ふれあえる。
離れてしまったひとと会えるのは、AIが、そのひとの生前の情報を記録して、再現しているから。
アップデートすれば、そのひとが一緒に生きているように記憶を重ねていく。
けれどもこの日、リナの恋人のダイゴはそれを拒んだ——。
リナと一緒に「どうして?」と思いました。けれどその理由の優しいこと、あたたかいこと。
果たしてリナがどんな決断をするか……ぜひ、ご覧ください。
このレビューがこうして文字で伝えられるものでよかったと、心から思っています。
私が今しゃべっていたなら、声が震えて震えて、あなたさまには聞き取れたものじゃないでしょうから。
この魅力はとても伝えきれません。素敵な作品です、読んでみてください。
最近AIが勢いを増していますね。
使い方次第という見解や、脅かされる恐怖感。
賛否両論ある気がします。
しかし……
亡くなった大切な人に会えるなら?
その人の記憶や外見を「データ」としてAIがとりこんで、再会できる。
レビュワーは、このような進化なら良いなぁ、と思って読んでおりました。
ですが――――
二人が決めた未来は違ったようです。
生前の「本人」なら言いそうなこと、考えそうなこと。
性格を極限までシミュレーションした先に、何があるのか?
最近の会話を「データ」としてアップデートした「モデル」は、果たして何者なのか?
かなり考えさせられる二人の物語。
作者様が力を入れたという余韻と相まって、美しく響く読後感があります。
多くの人に読んでいただきたい。
オススメします。