『化学的要因を伴わない人間の人格・思想形成、その可能性と実用について』

「しかし、『神は死んだ』。もう人間は、心など些末なものなど分析し、作れるようになっていたのだ」

科学者は思いついた。その時々に相応しいモデルを作り人間に組み込めば、争いはなくなるのではないかと。時は流れ、昇進や結婚など立場を得る時に＜心＞は飲むものとなった。
ベネは＜心＞を作る工場に勤めている。だが彼の孤独感を慰めるのは＜心＞を飲んでいない時代の偉人たちであった。
そんなベネは、愛する人と出会ったのをきっかけに、満を持して＜心＞を飲まないための研究を開始する。
現代を生きる以上、葛藤の中で研究を続けていくベネ。しかし、ある日、ベネの元に朗報が舞い込んできて……？