しんみりしてしまいました。

ある二人の男女が、旧友の死の真相を確かめるため、タイムリープする――こう言うと、彼らが主人公の物語のように思われるかもしれませんが、本作は時行監理局というタイムリープを司る機関で働いている、彼らのもう一人の旧友が主人公となる物語です。

様々な制限がありながらも、タイムリープという概念が身近になっている世界。二人の男女が、主人公にタイムリープ申請に訪れるところから物語は始まります。真実を追求するために危険をかえりみずに行動する、まさに物語における主人公のような二人で、それはどこか執念めいたものを感じさせるほどでもありました。

旧友の死の真相とは? そして物語の終盤では、さらに隠された事実が明らかになります。なぜ本来脇役に相応しい立場の彼が、この物語において主人公に据えられたのか、全てが頭の中でつながり、しんみりしてしまいました。

タイムリープという定番の設定を斬新に扱った良作です。おすすめします!

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