天空の礎の書〜礎の章〜 (最終計画)

 我らの都は『大樹』と呼ばれた。だがそれは比喩ではない。

 我らはオアシスごとに巨大な『樹』を建て、それを空中で連結させ、一つの巨大な『礎』としようとした。


【『天空の礎』計画】

第一段階:各オアシスに『浮遊機関』を備えた塔(=枝)を建設する。

第二段階:塔を浮上させ、高高度で連結(=大樹)し、大気の循環(=集露)とエネルギー網を安定させる。 

最終段階:『病んだ大地』を完全に切り離し、星の衛星軌道上に『第二の大地』を創造する。


 我らは失敗した。

 『礎』が連結を終える前に、『計測』の予測を超えた速度で、第二の『発作』が大地を襲った。

 『礎』は連結を失い、バラバラの『枝』となって、二層目の泥に墜落した。


 だが、『礎』の核はいまだ生きている。

 第二文明遺跡層ロスト・レイヤー2の奥深くで、墜落した『浮遊機関』は、いまだ『幽』なる力を吸い上げ続けている。

 それが、皮肉にも第三の泥、第四の泥を誘発する『病巣』の一つと化しているとも知らずに。


 この書を読み解く者よ。

 我らの『夢』を嘲笑うな。

 我らの『失敗』を糧とせよ。


 『礎』の核を停止させるか、あるいは、今度こそ『礎』を完成させ天へ逃れるか。

 『理』を知ったお前たちに、選択は委ねられた。

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『天空の礎の書』(大樹偽典) 火之元 ノヒト @tata369

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