偉大な王の跡を継いだこの人もまた、異常の人といえるのではないか
- ★★★ Excellent!!!
覇者の跡を継ぎ、国家の運営に苦悩する王の物語……ではあるのですが、登極からその死まで徹底して自分が及ばぬと姿勢を低くして治世を続けたことは、それはそれで異常ともいえるのではないか。
常にどこか諦観があり、弱腰故の過ちもあり。
しかし多少なりとも救いになったのは晩年、子嚢という同じ偉大な父を持ち、長年苦労を重ねて来た人物が宰相となったことでしょうか。
治世の助けもですが、兄弟だからこそ父に感じていた重圧を共有できる、そんな存在が傍らにいたことは随分と安らかになったでしょう。
綺羅星のような英雄たちを狭間を埋める短編として、深く楽しめました。