未消化な痛みと希望を乗せて――やさしく切ないドライブの終着点
- ★★★ Excellent!!!
うみたたんさんの『ソニアとドライブ』は、読むほどに境界が揺らぐ、不思議で切ないロードムービーのような作品。エミリーとソニアの静かな対話には、未消化な痛みや微かな希望がやわらかく滲み、車窓から覗く森や海の描写もどこか夢と現実のはざまのようでした。
思春期特有の戸惑いや、変化への期待、不安までが透明な言葉で描かれていて、誰もが一度は感じた「分からなさ」の優しさを思い出させてくれる一作です。
日常の端っこでこぼれ落ちる優しさと謎、ぜひあなたも体感してみてくださいね。