鱗雲

海乃マリー

鱗雲

水色の空に浮かぶ鱗雲

金木犀きんもくせいの香りのベールが

優しく包み込む



君は言った

「あの雲になりたい」



本当はわかっていたんだ

君の嘘も

笑顔の奥に揺れる悲しみにも

気付かないふりをして

笑顔の思い出だけ残した



これでよかったのかなんて

今でもわからない



巡り巡る季節

移り変わる景色



懐かしい香りにふと足を止めた

あの日と似た鱗雲が泳ぎだし

魚の群れになり空にとけた



空も雲も魚も

同じものだから

同じところに還っていくんだ



靄が晴れるように

君の面影が透ける



今日は

あの世とこの世が近くなる日

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鱗雲 海乃マリー @invisible-world

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