第7話 寒くないよ♪

「じゃあ改めて、さよなら、元気でな!」


 自分の想いを全てを言い終わった後、拓也は春の精と春風の妖精を見送る。それからもう一度強い風が部屋に吹き荒れたかと思うと、2人の姿はもうどこにも見当たらなかった。


(本当、現れた時も帰る時も魔法のようだったなぁ……)


 窓の外の春の景色を眺めながら彼はそう思うのだった。


 それからも妖精は事ある事に拓也に会いに来た。春の間は自由に動けるからだ。あれだけ感動的なお別れをした後だって言うのに。


 けれど彼にとってもそれはまんざらでもない様子だった。だから少し寒くても春になれば拓也は窓を開けている。かわいい弟分がいつ遊びに来てもいいように。

 それに部屋には春の魔法がかかっているから全然寒くはないのだ。


 少しも寒くないわ♪……なんちゃって。



(おしまい)

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春風坊や 2017改稿版 にゃべ♪ @nyabech2016

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