第五十九話 炎(最終話)
「フフ!ハハハハ!……懐かしきかな!ウェダリアよ!」
ウェダリアの街、
「城へ急ぐぞ!
信長は
オークの一隊が、ウェダリアの
「女!金!クー!これだから、いくさはたまらんな!」
オークの
「バカ!目立たんようにやれよ!クク……ククク……」
別のオークが、ニヤけ顔でいさめる。
何かがおかしい。
「静か過ぎる……」
あたりに聞こえるのは、オークたちの
「女がいねぇ……というより、人がいねぇな……」
「
ウェダリア城の前で、信長と
「うむ……どういうことだ……」
信長が応えた。あたりに人の
城の隣の神殿、その
「
黒い忍び
ミラナは北の
「……ヒヲ……」
ミラナは、ポツリと言った。才蔵が言う。
「……聞き
ミラナ、街を見つめたまま言う。
「……火を
「はっ、おおせのままに」
才蔵は言うと、乱波たちとともに
「火だ!!」
オークたちが
ウェダリアの城壁沿いの
煙に
「上様!」
「いったん退くぞ!」
信長は言うと、ウェダリアの
「ガイロクテイン
信長を見つけたダークエルフが言った。
───どうせ、何か
信長の
そう、
この「罠」に誘い込むために、退いたのだ。
信長は、そのことに気がついた。ポツリと、つぶやく。
「……
炎は勢いを増し、兵たちは続々と倒れていく。信長は言う。
「力を合わせよ!城門を打ち破るぞ!!」
「押せ!!」
信長が言うと、魔物たちは体当たりを繰り返した。
信長、蘭丸、魔物たちが続々と
「アァ!」
「ギャァア!!」
信長に
「お待ちしておりましたよ、ガイロクテイン侯爵……フフ」
幸村はニヤリと笑って言った。
「
信長は言うと、
その間にも、ウェダリア兵たちは次々と、逃げ惑う魔物たちを槍で突き伏せていった。
「お前のようななんの
信長のサーベルが魔力の赤い
「
幸村の切り返す千子村正の
「チッ!あの女に惚れたか!バカが!」
信長は斬りつける。
(そう……ミラナどのは、
幸村は信長の剣を受けつつ思うと言う。
「日ノ本では茶々さまをお守り
茶々とは淀の方の
「茶々?茶々は守れなかったくせに、今度は守るというか!そのためにこのワシの理想を邪魔すると言うか!」
信長の
「フン、なんとでも
幸村が
「バカバカしい……。その通りだ。つい頭に血が昇ったわ。ワシもおまえも兵を率いて戦ってこその武将よ。
信長は、幸村を見る。幸村も、まっすぐに信長を見た。
「左衛門佐、
言うと信長は、南へと馬を走らせた。蘭丸がその後を追う。
幸村は、二人の後ろ姿を静かに
ウェダリアの東、戦場となった平原を見渡せる山から、一人のダークエルフが走り去っていく信長の姿を見つめていた。
「敗れたか、ガイロクテイン侯爵。ザマ無いわ」
一人つぶやいた。風が冷たい。
「さて、
そのダークエルフは言うと、脚を引きずり馬へと向かう。馬にまたがると、また
いくさは終わった。ウェダリアの街は燃え、そこには
「終わりました。力およばず、この
ミラナは首をふると言う。
「いえ……幸村。あなたには、良くやってもらったわ。幸村にこの策の
ミラナは街を見つめたまま言った。つづける。
「民も、みんな
ミラナは、焼けた街の光景に感極まったのか、肩をふるわせて泣き出した。
「ミラナどの……」
幸村は、ミラナの肩に手をのばすと、やさしく抱きとめた。
「幸村さん!」
そこにダニエルが走ってきた。幸村はミラナの肩から手を離すと、ダニエルのほうを向き言う。
「どうした?」
「……
ダニエルはうつむき泣き崩れた。
「どうしました、
ダニエルは聞き覚えのある声に顔を上げた。そこには、
「あぁ!なんで!?佐助さん、生きてるじゃないですか!!」
「
佐助は、
「佐助さん、『
「あれか?あれは
「えー!!そんな!!!」
ダニエルが
「佐助、ご
「どうやら、うまく行きましたな」
「うん、相手が信長公だからね。あれくらいやらないと、この罠にはまってくれないよね。才蔵もご苦労だった」
才蔵は微笑を浮かべ、幸村に軽く頭を下げた。
その様子を見て、ミラナは笑って言う。
「さて、ウェダリアの街も作りなおさなきゃならないし、また
幸村は言う。
「
「幸村、あなたも
ミラナは幸村の手をとる。
「日ノ本に
幸村は笑って言った。
─── 幸村転生 第一部 完 ───
幸村転生 ─ 転生したその世界に助け求める人がいるなら真田幸村はまた再びその剣を取る ─ 石丸慎 @isi
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