日常のなかにある恐怖への扉
- ★★★ Excellent!!!
短く切れ味鋭いホラー集です。
ほぼ全編通して共通するのは、登場人物は決して特別な人間ではないということ。霊能力があることを吹聴したり特異な体験を求めたりはしない、ごく普通の生活人。
実はその平穏な生活は、まるでコップのふちギリギリまで水で満たされたようなもので、わずかな振動を加えるだけで破局してしまう。
これらのストーリーのなかの人物に自分は決してなり得ない、と言い切れないところが、この作品の魅力だと思う。
気付いていないだけで、あなたのすぐそばに恐怖への扉はあるのかも――