僕の命は君の物。君の命は僕の物。

 ……なんてセリフを登場人物に吐かせることができる、違和感なくこういうセリフを活かせるのが物語の力なのだと思うのですよ。薄っぺらいストーリーの中でいきなりこんなセリフ突き付けられても「はあ?」でしょう。

 そんなドラマチックな世界観の物語です。起承転結がはっきりした構成。細かな情景描写と濃厚な心理描写。残酷とも思える人間の本質とそこから見える少しの希望――。

 物語本来の良さがいっぱいに詰まった作品です。じっくりと読書したい方にお勧めです。

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