「貴女と私」は、まるで合わせ鏡のよう。

 これは、一人の少女が大きな悲しみを背負い、そしてそれから解放される物語だ。初めの章を読んだ時、主人公となる一人の「慧眼の少女」を「嫌なヤツ」と感じる方もいるだろう。しかし、この少女の悲しみの深さ、思いの大きさに徐々に気づいていく。そして本編のもう一人の「慧眼の少女」との対面、対決を通じて、「慧眼の少女」は自身の背負ってきたものから解放される。本編の「慧眼の少女」とここに出てくる「慧眼の少女」はまるで合わせ鏡のようだ。そしてこの作品自体も、本編のスピンオフながら、本編と合わせ鏡のような構成になっているのが良かった。
 天才同士の熾烈な頭脳戦も見事に表現され、それでいて人間関係もおろそかにならない。そこがこの作者様の素晴らしいところだ。本当に「見事」としか言いようがない。

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