ソレは、綴られた自分史に舞い降りた――ひとひらの花びら。

 情景と季語に溢れた淡いパステルカラーのような描写。
 触れたものを容赦なく塗りつぶす墨汁を思わせる人の心理。
 対照的な二つを妥協なく書き分けることで生じる緩急が面白い。
 その比率がどちらに傾こうとも、決して色あせない事は無いのだろう。
 無色透明という立ち位置に甘んじていた、ゆきのんの将来がどう色づいたとしても。筆者にはその力量がある。