乱立された悪意の一線を画し、解き放たれた楔はやがて薄明に溶ける

情報の提示の手順はさすが熟練のミステリー作家というべきでしょうか、安心と信頼の引きが最後まで続きます!

加えて今作は、ミステリーの王道を散りばめられた道をキャラに歩かせるのではなく、キャラの距離感と魅力を、ミステリーという推進力を使って強く描いているのが印象的でした。

前情報をみるとあくまで動機が主だと思ったのですが、六章の情報を踏まえてからから過去の各キャラの登場シーンを見てみると、フーダニットもよく練られてる事が分かって楽しいです! マジで動機が全員あるように錯覚します!

またジャンピング・ジャック・ガールのように、推理をしながら追従する読者に対するミスリードや仕掛けも多く、ゲームミステリーとして遊んでも最後まで楽しめました!

大詰めともいえる九章以降の展開も、伏線回収だけに留まらない演出や男の子が大好きなカタルシスも集約されていて最高でした!

秋田川さん最高!