孤独と物悲しさのなかで、ほんのわずかに輝く愛おしさに胸を締め付けられる

主人公が独身男性であることによる孤独を巧みに利用しつつも、様々な物寂しさを描いており、非常に胸に刺さる。

心情描写がとことんリアルであるからこそ、主人公同様、どこまでがリアルか疑ってしまう。
その疑念の余地は、どこか不幸な、マイナスな雰囲気を伴っているが、それがまた、本作をより身近にし、猫への愛おしさを演出する。

ボーイミーツガールでは往々にして理想的なヒロイン像が追求され続け、千差万別であるが故に属性などに限界が無いように思われるが、
少なくとも私の中で本作の占める読後感は、これまでに例の無いほどハマってしまうもので、私自身も、主人公よろしく、心の隙間を埋めてくれる存在と出逢えたと言えるだろう。