耳に残る恋の歌

 彩り豊かに紡がれる、付喪神との恋物語。
 いつまでも変わることのない彼女は少年にとって故郷の象徴だった――

 目を引く一方で、一発ネタかと思ってしまう題名に、おそるおそる開くと美しい文体が飛び込んできた。私は小説を楽しむとき、想像したときの絵面の美しさが先に来ることが多い中で、この物語は聴覚に訴えてきた。

 何気ない会話が、やりとりが、惚れてるのだと叩きつけてくる。
 難攻不落にも見えたヒロイン、壁は高い中で老いることのなかった彼女にも変化が訪れる。結末は予想はついていたけど、それでも安堵と喜びでニヤリとしてしまう。

 とりあえず想像してもらいたい、美人のお姉さんが自販機に花をまいている姿を。萌えてしまった人は読むべし

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