性と妖の狭間、夜叉の薬売りが参る

 龍神の守護する土地からきた薬売りが人を買う。
 最初に言っておこう。この物語は決して、美しい甘いモノではない。
 むしろ社会の嫌な面をミクロに切り取って反映している。それもそうだろう、人買いがストーリーの軸にあるのだから。特に人を選ぶ、性の面で切なさや嫌な面が目立つ。少なくとも誰もが楽しめるエンターテイメント性には欠ける。私だって嫌だなぁとか思う話だった。
 爽快感が味わいたい、あまり嫌なものは……と思う方はそっと控えておこう。
 しかし、それを越えて、それさえも楽しもうとする気概があるなら先へ進めばいい。
 見事に和の中に夜叉や龍神が自然に織り込まれた世界観と5話での起承転結と読みやすい話の構成をしている。
 そして主人公のシビアな人?生観がストーリーに味を出している。
 これが好きだという人もいることだろう。
 あなたの肌にあうか、挑んでみよう。