幻想<ファンタジー>でなく、
この世界<現代>ともいえず、
未来<SF>とは少し違い、
恋愛<ラブコメ>というには硝煙臭く、
物語<ドラマ>というには固く、
恐怖<ホラー>は感じず、
勿論過去<歴史>でも
実体験<エッセイ>でもない、
だからと言って童話<その他>にしては刺激が強い。
そう、これは正しく、【強盗童話】なのだろう。
「魅力的」という単語で片付けるには足りない。
「格好良い」も正解だけど何かが足りない。
「引き込まれる」で終わらせたくない。
どうにかこうにか、自分が納得できる言葉を探して口にするのならば、
「同じように“空を飛んでみたくなるお話”である」とでもいうべきか。
――文章を、文字を書く・書いた経験のある人間が、
「もう一度、自分の小説を書いてみよう」
そんな風に思わせてくれるぐらい、“ミせられる”作品です。
2.5秒、息を止めて――、
熱っぽい溜め息と共に吐き出した言葉は「かっけぇ……!」でした。
間違いなく、疑う余地すらなく、どうしようもないくらいに魅力的です。でもそれ以上に「かっけぇ……!」んです。
まるで漫画みたいに目紛しく視点が変わるのに、誰の視点かはすぐにわかってしまう。その疾走感と迫力は、冬春夏秋さんの文章力を以て初めて成せる業なのでしょう。
私は基本、文章として描かれたものがアニメ化や実写化されるのはそれほど好きではないのですが、この『強盗童話』に関してだけは、本気で、映像で観てみたいと、そう思ってしまいました。
『童話』なんて噓です。騙されてはいけません。
これは、かっけぇ大人の読み物です。
最後に余計な一言を。
明日からサングラス掛けようかな……。
(第8話+第6話まで読んだレビュー by かっけぇ大人代表 上星)
最初のページを開いた読者は思うだろう。童話とはなんぞや、と。だが続く文章に目を通したが最後、物語が途切れるまでのめり込むに違いない。
強盗童話は、魔女の媚薬よりも強く読者を物語に引き込む力がある。
世界中で愛される童話を下敷きにして組み上げられた新説は、ファンタジーよりいささかファジー。
世の秩序なんてお構いなしに、奪い奪われ追い追われ、執着と自尊心と豪胆が闊歩して、強い者だけが賞金首《スター》になれる。常識にガチガチに苛まれた人間が夢に見た世界が広がる。これを童話と言わずしてどうするのか。
あまりに中毒性が高く、刺激物より辛くて熱い、生涯を舞台にかけた老女優の迫真の演技より鬼気迫る物語。
臨場感ある重火器の火の雨やトリッキーな空中戦に飲み込まれたら、もうおしまい。
貴方は明日、朝の天気予報を見ながらこう思う。「ああ、今日は『彼ら』が暴れなければいいなあ」と……。
時間を忘れることうけあい。面白さは折り紙つき。
強盗童話中毒にくれぐれもご注意を。