おとなのおねえさんと少年である『僕』の甘くて苦い駆け引き

 ちょっぴり大人向けの、年の差カップル好きにはたまらないであろう一作。
 ただし、ラブストーリーかと思いきや、違いました。政治的な陰謀を感じる駆け引きのお話でした。この先『僕』が『大人の作法』を身に着けて女王に相応しい男性に育っていけば変わるのかもしれませんが……『僕』自身「恋に落ちる瞬間があるとしたら」という話もしていることを思うと、彼自身がいつかそれをそうと判断できる日が来るのかもしれませんが……少なくとも当分はなさそう、と思えるのがまた良い……! 甘いだけじゃない!
 実際にどこかとどこかの国でありそうな話でもありました。作者様はこのテの政争ものがお好きなのでしょうか? 絶対王政華やかなりし頃のヨーロッパのようでも、神権政治がまだ続いている古代のアジアのようでもあり……素敵です。いずれにせよこの女王は、もちろん智謀や施政者としての手腕もあるのでしょうが、この気性で強く乗り切ってきた方なのだろうなぁと思いました。強い女、好きです。
 個人的に政略結婚ネタが大好きなので、この二人にはぜひとも共犯者としてこの先うまくやっていって形だけでも夫婦になってくれたらとても嬉しいです。