キューリー婦人がラジウムを発見したから約100年。
本作は、気の遠くなるような長い年月を得て、そんなラジウムたちがレディウ人に進化した世界のお話です。
舞台はレディウ星にあるミモリ市。こことは別の遠いどこかかもしれないし、遠い未来の地球のお話かも知れない。そんな想像力を掻き立てられる世界観は、SFというより淡いファンタジーのような印象を読むものに抱かせてくれます。
愛らしい小動物トリニティに隠された謎。美しいミモリの森の花畑。
そして、主人公ホクトが抱くことになる淡い恋心と、『レディウ人』であることに対する疑問。
ラジウム鉱石のように淡く輝く世界観は、ホクトの思いと、どこか切ない雰囲気を秘めるレディウ人たちの謎を優しく読者である私たちに囁きかけてくれます。