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概要
順番が来る前に、なんとかして。母は二度そう言った。
母が最期に遺した言葉を、松浦郁は手続きのことだと思った。相続した山あいの家、十七軒の集落、今年はお宅の番ですという世話役の言葉。務めはただ一つ、北の部屋を空けておくこと。だが月ごとに言い付けは増えていく。雨戸は閉めたまま、あの部屋で火は使わない、廊下に水を置き翌朝捨てる——理由は誰も説明しない。書面は、一枚もない。
十七年に一度の順番が、静かに家を侵していく。
十七年に一度の順番が、静かに家を侵していく。
イイノデスカ。
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