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概要
住所はもう知らない。名前だけは、まだ書ける。
手紙を書こうか、と思い立った朝。便箋はある。ただ、ペンの握り方はもう忘れている。送れば消せるスマホの文字と、紙に染みたら知らんぷりのできないインク。何を書くかも決まらないまま、宛名の人のことだけが、少しずつ立ち上がってくる。
出すあてのない一通を、書こうか書くまいか。その手つきだけを綴った掌編。
出すあてのない一通を、書こうか書くまいか。その手つきだけを綴った掌編。
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