概要
「私たちが紡いでいるのは、文学か。それとも、大黒柱を腐らせる記号か」
ネット小説プラットフォーム。そこはアルゴリズムに調教された書き手と読み手が「蟻」のように群がる、底なしの暗渠だ。自嘲気味に毎日「千文字」の家畜の言葉を吐き出す「私」もまた、文学という名の柱を内側から食い荒らす「白蟻」の一匹に過ぎなかった。しかし、ある夜届いた「あなたの牙は、少し左に傾いていますね」という不穏な通知をきっかけに、世界は変質していく。固有の牙を持つ別の白蟻との邂逅。混入するノイズ。やがて「私」の指先から紡がれる言葉は、システムそのものを内側から引き裂く破壊的なエラーコードへと変わっていく。二十万文字の巨塔が白い砂へと崩壊する時、電子の廃墟の向こうに現れる「本当の手触り」とは。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!言葉を齧りながら、自分の牙を探す物語
ネット小説を書くこと、読むこと、評価されること。
そのすべてを、ここまで冷たく、痛く、そして執拗に描いた作品はなかなかないと思いました。
本作では、書き手も読み手も「蟻」や「白蟻」として描かれます。
毎日更新、千文字、ランキング、数字、承認欲求。
ネット小説の世界にいる人間なら、どこかで見覚えのある仕組みが、かなり鋭い比喩で突きつけられてきます。
けれど、この作品がただの批判で終わらないのは、語り手自身もまた、その場所から逃れられない一匹の白蟻として描かれているからだと思います。
嫌悪している。
見下している。
それでも書いてしまう。
数字を見てしまう。
その矛盾が、とても生々しかっ…続きを読む