概要
目的は観光――
ではなく、「小麦粉と海鮮のハント」。
挨拶代わりにサーモン三皿、賞味期限30分のクレープ、六花亭の可憐なスイーツたち。
温泉上がりにキメる深夜の毛ガニのクリームコロッケは……完全有罪!
限られた胃袋と滞在時間の中、
押し寄せる誘惑に秒で流されながら、市電片手に港町を爆食していく。
――けれどこれは、ただのグルメ小説ではない。
一人のOLが、函館の夜景と先導する猫の足跡の向こうで、そっと“幸せ”のありかを確かめる、
美味しくて少しだけ切ないご褒美旅。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!~ 胃袋に正直な旅人が、夜景の前で少しだけ立ち止まる ~
「花より団子。観光より小麦粉。」この一文で檸檬子というキャラクターの全てが伝わります。スナッフルスのタルト、ラッキーピエロのチャイニーズチキンバーガー、六花亭の喫茶室、賞味期限30分のクレープ——食の描写がとにかく具体的で、読んでいるだけで函館行きの検索を始めたくなります。
ただこの作品、グルメ旅行記として読んでいると、ふとした瞬間に違う顔を見せます。函館山の夜景の前で檸檬子がぽつりと感じる「少しの切なさ」、市電の窓越しに既読にして閉じる社内チャット、猫に先導されながら坂道を歩く場面——食べることへの情熱の裏に、日常から少しだけ距離を置きたかった人の気配がある。
「百点じゃなくていい。八十五…続きを読む - ★★★ Excellent!!!気づけば私も函館を旅していました
この作品、読み始めた時は「函館グルメ旅のほのぼの小説かな?」と思ったのですが、気が付けば完全に檸檬子さんの旅に同行している気分になっていました。まるでオープンワールドゲームのマップをのんびり探索している時みたいに、次はどんなお店や景色や出会いが待っているんだろうとワクワクが止まりません。
特に印象的なのは、料理やスイーツの描写だけではなく、街の空気や港町の匂い、そしてふらりと現れる猫たちまでが旅の風景として自然に息づいているところです。観光ガイドを読むのとは違い、「旅の体温」が伝わってくる感覚がありました。
ひとり旅ならではの自由さと少しの寂しさ、偶然の出会いが重なって、一つひとつ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!函館グルメ旅行記であり、ひとり時間を楽しむ大人の旅物語でもある
このエッセイ、一粒で二度お得な気がします。
函館グルメ旅行記でありながら、ひとり時間を楽しむ大人の旅物語でもあるから。
主人公檸檬子の食への情熱がとにかく魅力的。スナッフルス、ラッキーピエロ、レモンの花のタルト。どのお店のどの食べ物も実に美味しそう。読んでいるだけで今すぐ函館へ飛び立ちたくなります。
では、ただの食道楽作品なのかと言うと決してそうではなく、函館山の夜景や港町の風景、旅先で出会った人々との交流が丁寧に描かれ、旅特有の高揚感と少しの寂しさが心地よく伝わってきます。
「百点じゃなくていい。八十五点の旅だ」という一節には、肩の力を抜いて人生を楽しむ檸檬子らしさが詰まっているよ…続きを読む