概要
皮一枚剥げば、そこは地獄。黒猫の目を通してみる、もう一つの「京都」。
【ご注意】この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。また、作中に登場する京都の地名、寺社仏閣、施設等は実在のものですが、それらにまつわる怪異やエピソードはすべて作者の想像による創作であり、実在の対象の由緒や事実とは異なります。あくまでエンターテインメントとしてお楽しみください。
お琴の音が染みた町家、宵山の綱、送り火の夜空。
美しい景色の裏側で、名を失った死者は「百足」となって瓦を這い、帰りそびれた客は、色街の六畳一間で壁紙の模様になっていく。
語り部は、亡きお師匠さんの形見の紅い裂を首に巻いた、京言葉の黒猫「若旦那」。
彼にとっての京都は、生者と死者が同じ場所に層になって重なる、あべこべな街。
住む人はみな知らず知らず、見えへんもんに「家賃」を払って暮
お琴の音が染みた町家、宵山の綱、送り火の夜空。
美しい景色の裏側で、名を失った死者は「百足」となって瓦を這い、帰りそびれた客は、色街の六畳一間で壁紙の模様になっていく。
語り部は、亡きお師匠さんの形見の紅い裂を首に巻いた、京言葉の黒猫「若旦那」。
彼にとっての京都は、生者と死者が同じ場所に層になって重なる、あべこべな街。
住む人はみな知らず知らず、見えへんもんに「家賃」を払って暮
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!若旦那の語りに耳を傾ければ、京都の怪異と人情の街並みを歩ける
京都の美しい街並みには、人の無念や執着が澱のように積もり、幽霊や怪異となって、街の人々と当たり前のように同居している。
人ならざる者と人とを見つめる語り手であり、黒猫である若旦那。落語のようなその語りに耳を傾ければ、京都の不思議で恐ろしくも人情あふれる街並みを見て回ることができる。
登場する怪異たちは、恐ろしくもどこか人間臭い。
登場する人間たちには人情あふれるあたたかさを感じることもあれば、諦めのようなやるせなさを感じることもある。
若旦那は「不憫やなあ」と言いながらもそんな人と怪異のそばにいる。
それは、お師匠さんと積み重ねたこの街をただの薪にはしたくない――そんな若旦…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『不憫やなー』が聞きたくて。黒猫の若旦那と共に巡る京都の裏側へ
舞台は京都。
歴史と伝統、品格をもって人々を魅了するその場所は現代まで観光地も多く、はるか昔より栄える都。
されど旅の案内人である黒猫の"若旦那"の後をついていく先に広がるのはその<裏側>。
華々しい表の顔から一つ路地に入れば、冷たく湿り気を帯びたどこまでも広がる闇が冷たい風とともに背筋をなぞるよう。
気を許せば――食われてしまう。
人が生む、土地が生む澱みはすぐそばに。
そこに息づく暗闇がそこはかとない緊張感となって読者に忍び寄ります。
でもね、ただ怖いだけじゃないんです。
若旦那のその語り口に興味を駆られては好奇心に勝てず今日もページをめくってしまうんですよ…!
引き返さな…続きを読む