『あまやどり』

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（163文字）

面白い

平成7年生まれですが小さい頃にはギリギリ駄菓子屋が存在してた記憶があります。
友達とも何回か行きましたがその駄菓子屋はもうありません。

時代と共に消えゆく駄菓子屋。だけどたんぽぽには儲からないけど確かに人との交流や物語があって。
郷愁と温かさとほんのり寂しさを感じるのが良いと思いました。

　平成５年。今日も自宅の裏に建てた駄菓子屋『たんぽぽ屋』の軒先でパイプ椅子に腰を下ろし、コーヒー牛乳を手に通学路を眺める店主の坂本誠一。まるで金にならない店ではあったが、それでもぽつりぽつりと人はやってくる。しかして紡ぐのだ。ささやかながらも唯一にして無二なるその人だけの物語を。

　平成５年、すなわち30年以上の昔を舞台にしたこの物語、駄菓子屋という場所がノスタルジックな場所としてだけでなく、会話の口火や行動のきっかけになっているのです。

　駄菓子屋という非日常的空間が、ささいながら噛み殺すことのできないストレスや諸問題で固く蕾んだ人の心をほろっと緩めて語らせたり、思わぬ縁を結んだりして…続きを読む

ささやかな人々の営みが静かに交わる、心に染みわたる作品です。

20251005追記
『あまやどり』は日常と非日常とをやさしく橋渡しする物語だと感じます。
主人公と店そして人々との縁が静かに、しかし着実に色を増していく様子が心地よく、優しい光を感じさせるストーリーです。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（43文字）

駄菓子屋でのいろんな出会い。
その人その人に、いろんなドラマがあります。
それをそっと語る、心優しい作品です。