人類が死を失った世界、という設定の見せ方が強烈です。冒頭からこの世界の異常さが鮮明に伝わり、そこから社会の崩壊と、人間の心の限界が淡々と描かれていきます。グロテスクな描写もありますが、ただ刺激的なだけではなく、「終わりがないことは本当に救いなのか」という問いが物語全体を貫いています。愛情と救済願望が少しずつ危うい形へ変わっていく流れに引き込まれます。短い中にSF設定、倫理、恋慕、絶望がきれいに収まっていて、読後に深い余韻が残る作品です。
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