概要
翌朝目が覚めると、なぜか身体が異様に重い。
そして布団をめくったその時――額に朱色の血を流した
幽霊の女の子が「う、ら、め、し、やぁ~……」と呟いた。
名前も記憶も持たない彼女に、俺は「レナ」という名をつけた。
レナが抱える正体不明の未練を晴らすため、二人はこの街を歩き始める。
すぐさま俺の身体に異変が起き始める。
「もしかして……俺って死んでるのか?」
生死の境界も分からないまま、やがて俺たちの前に、さまざまな霊たちが現れた。
夜の街に消えた金髪ギャルの霊・ミチル。
承認欲求の呪いに縛られた霊・えみ。
愛猫との再会を願い続ける、病弱な女性の霊・ひより。
完璧主義の母に追い詰められた才女の霊・由衣。
それぞれの痛みに向き合う
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!切なくも美しい純愛救済ファンタジー
本作は、現実世界で「生霊」になってしまった主人公と、「幽霊」の少女という、幽世の二人の出会いから始まる心に触れる物語となっております。
どちらも、生命が曖昧な存在になるわけですが、テーマとしては、あたたかさや優しさを扱っており、それぞれが抱える孤独や傷が丁寧に描かれることで、読み手の心を打つ構造となっております。
作者様の手腕のこの丁寧さであり、タイトルにもある「天色」をはじめ、作品全体を包む空気感や色彩の描写が美しいです。
世界観で、読者を魅了し、引き込む筆力に魅せられてしまいます。
心を失い生霊となった少年と孤独な幽霊の少女が、生と死の境界線上で互いの傷を癒やし合い、天色の空の下…続きを読む - ★★★ Excellent!!!繊細な幽霊だからこそなせる救済譚
記憶を失った幽霊の少女レナの物語は、湊(みなと)との軽妙な掛け合いによって少しずつ立ち上がっていきます。
幽霊をテーマにした本作ですが、読み進めるうちに、おどろおどろしいイメージとは全く異なる、温かく瑞々しい空気を感じるようになりました。
レナに対して、ある意味で正反対ともいえるミチルの存在など、キャラクターの造形が本当に秀逸です。
登場人物のそれぞれが痛みを伴う背景を抱えており、やがてそれが救済へと向かっていく一連の流れには、読みながら大きなカタルシスを覚えました。
ハラハラさせられた直後にクスッと笑えるなど、物語の緩急の付け方が巧みで、彼らの関係性を紡ぎ出す筆致のクオリティの高さ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幽霊たちの涙が、やがて天色の物語へ変わっていく
幽霊もの、という言葉から想像する怖さは確かにあります。
けれど本作を読んでまず感じたのは、怖さ以上に『温かさ』でした。
主人公・湊は、失恋の帰り道に事故に遭い、生死の境界線を彷徨うことになります。そんな彼の前に現れるのが、記憶を失った幽霊の少女・レナ。
額から血を流して『うらめしや』と現れる出会いはホラーのはずなのに、湊の冷静なツッコミとレナの素直で表情豊かな反応がとても可愛らしく、気付けば二人の掛け合いに引き込まれていました。
本作の魅力は、幽霊たちがただ怖い存在として描かれていないところだと思います。
レナ、ミチル、えみ、ひより、由衣たちには、それぞれ痛みや未練があります。けれ…続きを読む