概要
「うちは派遣とか関係ないから、みんな仲間だから」と言われ、少しだけ期待した。
派遣十五年目の鈴木愛は、
どんな職場でも変わらない“あること”を知っている。
名前で呼ばれないこと。
距離が縮まらないこと。
そこにいるのに、いないように扱われること。
それでも、仕事を覚えようと頑張る。
ここなら、違うかもしれないと信じて。
けれど――
「これ、派遣さんにやってもらって」
その一言で、すべてが分かってしまう。
これは、名前を持っているのに
名前で呼ばれない人の、静かな一日。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「頑張れ」じゃなくて、「今日もお疲れさま」と伝えたい。
「名前があるのに、呼ばれるのはいつも『派遣さん』」
派遣社員として働く鈴木愛さんの、何気ない毎日を描いた物語です。
名前を呼んでもらえたこと。
仕事を任せてもらえたこと。
「ありがとう」「助かったよ」と言ってもらえたこと。
そんな小さな出来事が、思っている以上に一日を支えてくれることがあります。
反対に、誰かにとっては何気ないひと言が、自分でも驚くほど胸に残ってしまうこともある。
この作品は、そんな働く中で生まれる小さな心の揺れを、とても静かに、丁寧にすくい上げています。
けれど、つらさだけを描いているわけではありません。
誰かに頼られた嬉しさ。
何気ない会話のあたたかさ。
う…続きを読む - ★★★ Excellent!!!名前はあるのに、私はいつも『派遣さん』――そんな彼女の物語
『派遣さん』――そう呼ばれるたびに、胸が少しだけ痛くなる。
名前は、ちゃんとある。それなのに職場では、いつも『派遣さん』。
「みんな仲間だから」と言われて、少し期待してしまう。でも、現実はそんなに甘くない。
ミスをすれば厳しく指摘される。
同じミスをした社員には、笑いながら「気をつけろよ〜」で終わり。
その違いに気づいた瞬間、胸に刺さる小さな棘。
でも、この物語は「派遣はつらい」で終わらない。
ある日、名前を呼ばれる。
たったそれだけなのに、『派遣さん』の胸がじんわり熱くなる。
そして、別の日には――
「助かったよ、ありがとう」。その何気ない一言に、『派遣さん』は思う。
自分…続きを読む - ★★★ Excellent!!!派遣を求める会社に派遣されたとき。
職場小説としてとても痛く、現場を知る人間には、笑えない読了です。
会社は、指揮命令の中間管理職にこう言うのだ。
「派遣は社員ではない。いらない教育はするな。ノウハウを渡すな。任せず属人化させないよう監視しろ。契約解除を悟らせるな」
それでいて、不和を起こすな、とも言うのだ。
結果、距離を置いたコミュニケーションにしかならず、派遣された人はどんどん削られていく。
逆に、削られず、鎧をどんどん着込んだ強い派遣とはどうなるか。豚はよくこういう生き残った方とよく一緒に仕事をする。
人に教えない。
人を育てない。
人に任せない。
人が入ってくると邪魔だから排除しようとする。
地獄である。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!当たり前の、大変な日々を、一つひとつ片付けていく物語
派遣社員という立場が、外の人、派遣の人と区分される要因になる。
当事者ではなければ、ちょっとしたことのようだけれど、当事者にはいろんな悩みがある。
一つひとつの仕事、決まりごと、常識になっていること、それが分からないこと。
周りと同じ立場なら簡単に聞けても、立場が違えば聞きづらいこともある。
日々過ごすだけで、大変さ、線を引かれる切なさがある。
同じ仕事をしているのに、その立場だけで扱いが変わる。
それでも、やらなければいけないことは目の前にあって、がんばってそれを一つひとつ片付けていく。
ちょっとしたできごとを、喜びとして自分の力にしていく。
少し息苦しさを感じる毎日、そんな中でも…続きを読む