人は生まれながらにして平等だと色んな人が言うけれど、現実は残酷なものだ。家に動物園や博物館を作り恋人といちゃついている人もいれば、毎日貧しい食事にため息を吐いて、スカスカの銀行口座を前に未来を嘆く人だっている。同じホモ・サピエンスで、何故ここまで差が生まれてしまったたのだろう。
そして、そんな極端な例じゃなくても似たような事は探せば無限に見つかる。本作の主人公、鈴木さんは派遣社員さんだ。みんなと同じくらい頑張り、一生懸命仕事をこなしているけど、どこかでライン引きされてしまう。そんな孤独が、ますます鈴木さんを人見知りにしてしまう。社食の値段差にため息したり、悪意なき差別にモヤモヤしたり……
それでも、鈴木さんは頑張ってる。へこたれずに、毎日真面目に働き続けている。そんな姿は、とても健気で応援したくなるもの。悪いことは色々あるけれど、良いことだって色々ある。そんな日常を、鈴木さんは送り続けるのだ。
なかなか名前で呼んでもらえない愛さん。
コピー機対応や電話応対、お昼の過ごし方といった何気ない場面のひとつ
ひとつに不安や戸惑いを感じながらも、彼女は確かに少しずつ前へ進んで
いきます。
誰かに一歩近づけたり、小さな「分からない」を自分から聞けるようにな
っていく、そんな変化が読んでいる私たち読者に感動を生みます。
派遣という立場の弱さや距離感を強調しすぎるのではなく、その中で生ま
れるささやかなつながりや温かさに焦点を当てている優しいお話です。
「愛さん、今日もお疲れさま」とつい声をかけたくなる、
とてもとてもおすすめな作品です✨