まだ読中です故、最終的に書き直す可能性がありますが
とりあえず四話まで読了。ここまでのレビューを書かせていただきます。
久遠島への帰郷から始まり、海・人・過去が静かに絡み合っていく構成が非常に美しい印象。
第一話は「癒しの風景」、第二話は「身体と恐怖」、第三話は「共同体と人間関係」、第四話は「罪と沈黙」と、テーマが段階的に深まっていき、我々を自然に物語の核心へ導いています。
鳴海颯太が「救ってくれた人」でありながら「罪を負わされた人」として立ち上がる反転構造が強く、湊人・涼介・島の人々の視線が交錯することで、単なる再生物語を越えたサスペンス性が生まれています。
静かな海と人のぬくもりの裏に、決して癒えない過去が沈んでいる。そのコントラストが、物語に深い余韻を与えています。
導入部として完成度が高く、「この島で何が起きたのか」を読者に強く問いかけてくるかの如くです。
引き続き、注目していきたいともいます。
まずは、この物語のテーマの一貫性に驚かされます。
作者様の思いとは違ってしまうかもしれませんが、設定、情緒、背景、舞台など、様々なものが物語に起因していて、静かでもあり熱くもなるという、なかなかに読めない作品だと思いました。
起因すると前記しましたが、それらは登場人物という当たり前な存在があってのこと。
ただ、ここでの『当たり前』は、全然〝当たり前〟ではありません。
何度でも書きますが、なかなか読めない物語であり、それにあたってはやはり作者様のオリジナリティが大きく影響されているのではないでしょうか。
そんな物語……私としましては、大絶賛しつつ多大におすすめしたい作品です。
ぜひ、一読を!
とある事情で会社を辞めてしまった青年・相川 湊人
故郷に想いを馳せて生まれ育った離島で再出発を考えます
15年という時を超えて再会する想い
幼い頃に慕っていた姉の元恋人・鳴海 颯太
あたたかい出迎えと懐かしい友人・望月 涼介との再会も束の間
島に住まう人々に深く刻まれていた過去の影に湊人は出会う
過去に起きた痛ましい事故に縛られる心
渦巻く死の香りはまるで鼻をつく潮の匂いのようで
美しい島と海に隠された怖さが波打っているようで
深い海の底になにが隠されているのか
さざなみのように押し寄せてくるような不安
寄せては返す荒波のような感情
まるで本当に海に潜っているかのような流麗な言の葉
紡がれる幻想的な描写と深い心理的な表現力が素敵♪
深く沈んだ海の底の神秘に息が詰まるようです
言葉を交わせない海の中で二人の心にどんな想いが生まれるのか
深い深い海のような心に隠された真実を見届けてほしいです
※12話まで読んだ感想になります。
読み終えてまず出てきた感情は、「すごいものを読ませてもらった」でした!
穏やかな島の空気、潮の匂い、じっと底に沈んだ過去の影。そしてひそやかに積み重ねられた伏線たち。すべてが静かに、気づけば一気に加速して大きなうねりへ……。
丁寧に紡がれた序盤が、ラストに向けて見事に潜降していく展開は圧巻でした!
そして何より、海の描写がとても生き生きしていて大好きです!
暗闇の底の温度、息づく生物、沈黙の質感までもが肌で感じられて、ページをめくりながら私の心拍まで変わってくるんですよ!
(フォーエバーブルーなどの海に潜るゲームが昔から好きな私は、完全にワクワクしっぱなしでした!)
キャラクターたちの心情も細やかで、痛みが伝わるほどリアルで。
だけど、重く沈みすぎなくて。
それぞれに背負ったものが確かにあるのに、どこか誰かの優しさが灯りのように寄り添っていて、読んでいてとても救われる瞬間がありました。
この物語が扱うテーマは決して軽くないのに、文章の端々に「人はそれでも前に進める」という祈りのようなものが宿っていて、胸の奥がじょじょに温かくなります。
静かだけれど激しい。傷ついているのに、優しさを失わない。そんな心の波がずっと寄せては返してくるような作品でした!
そして、第一部ラスト。
一気に世界が拓けていくあの瞬間は、読者としての感情が完全に浮上させられました。
あの光景、忘れられません。
続きを読ませてくださいと言わずにはいられなくなる……最高の引きでした!
第二部が待ち遠しくて仕方ないです!
第一部、本当に素晴らしかったです!
この物語に出会えて幸せです✨️
素晴らしい海と絆の物語、ぜひご一読くださいm(_ _)m
都会に疲れ、心を閉ざした青年が故郷の海で再び“呼吸”を取り戻す――
『深海の呼吸』は、海と人の心を巧みに重ね合わせた、美しくも切ない物語です。
けれどこれは単なる癒しの話ではありません。
過去の事故、残された疑念、そして言葉より深いところで触れ合う心。
登場人物それぞれの痛みが、波のように寄せては返す。
ダイビングの描写はリアルで、読んでいると一緒に呼吸が浅くなったり、水中の圧に心が吸い込まれるような感覚を覚えます。
「沈黙の世界」でしか伝わらない信頼やぬくもりが、丁寧に描かれていて、人と人がもう一度つながる瞬間をそっと見せてくれるような作品です。
物語はまだこれから。
過去に縛られたままの彼らが、どんな形で赦しや希望を見つけていくのか――その行方を見届けたくなる……次の一話が待ち遠しい、そんな作品です。
海のそばで、誰かと呼吸を合わせて生き直す……そんな時間を、一緒に感じてみませんか。
本作が狙うのは、海・呼吸・手順が結び合う具体の連鎖によって「男同士が救い直していく」過程を静かに可視化することです。第1話で燃え尽きた湊人が久遠島へ帰郷し、ポスターの『青』が錆びた心の鍵を開ける導入から、第2話では颯太との再会と耳抜き・マスククリアの所作が「吐くことを意識する」呼吸訓練として機能し、言葉ではなく身体のリズムから信頼が生まれます。第3話の寄り合いで涼介が「兄貴を死なせた男だ」と告げる緊張が物語の対立軸を確立し、第4話では港湾開発と父の自死が重なって『過去に潜る』必然を提示します。第5話の縁側の腐食を颯太が即応修繕する場面や焚き火の夜、湊人の「上司を殴って辞めた」告白は、生活の手触りと心の修復を重ね合わせる美点です。第6話では台風の夜の『人工呼吸』が明かされ、湊人の「ありがとう、颯太兄ぃ」—「明日、スクールに行きます」「……待ってる」へ収束し、呼吸の再獲得=関係の再始動という作品の意図が端的に結実します。ブロマンスを性愛に短絡せず、信頼の再構築と赦しへの歩みを端正な筆致で描く、気品ある佳品です。
冒頭でまず驚いたのが、流れるような文章の美しさです。
地の文は目の前の光景だけではなく、聴覚、触覚など五感にに訴えかける表現で、思わず主人公である湊人と感覚を共有しているかのような気持ちになります。
私個人はスキューバダイビング未経験者なのですが、まるで同じ体験をしているかのように感じる瞬間がありました。表現力だけでなく、確かな知識をもとに書かれているのが伝わってきます。
語彙も豊かでありながら、表現に凝るあまり冗長すぎるということもない。誰でも情景がスッと入るような読みやすさと柔らかさがあります。
漁師の夜の集会もリアリティを感じました。都会から離れた島の美しさだけではないのです。主人公の湊人は「まだ自分はよそ者の空気を纏っているのではないか」と不安になる描写があります。和やかで賑やかなはずの田舎の連帯感が、人同士のあたたかな繋がりのようにも、圧力にも、どちらにも映るのです。
物語は序盤ですが、紹介文の通り、颯太と涼介の複雑な関係性が示唆されます。どうやら昔に重大な事件があったようですが……これから明らかになっていくのでしょう。今後の展開に目が離せません。
『今日からしばらく、島に――』
主人公湊人が安らげる場所を探して、たどり着いたのは元居た島の景色。
そこは穏やかな南洋に浮かぶ島。
生きなおしを望んでの再出発は、ダイビングが目玉の民宿経営をば。忙しく過ごす日々もまた、そこに気ぜわしさは無く、動き出した時は思い出を巻き込んで膨らんでいく。
そして小さな島で絡み合う人間ドラマ――。
かつては、全てが怖かった。
水遊びも木登りも、野菜を刻む包丁や、あるいはマッチ一本の火でさえ。
それはみんな誰でも。
でもいつか、それを忘れちゃう。
みんな誰でも。
其処人知らずの暗闇で、わだかまりも、傷も、何もかも見えない闇の中で、肩を寄せ合って。
海の音と、人の呼吸の中で。
ざわつくのは命。
南の海に浮かぶ穏やかな島のミステリーでございます。
まだまだ始まったばかりの本作ですが、大人が抱える葛藤や喜怒哀楽、とある島にある漁師町の情景が目に浮かぶようで、引き込まれます。
都会の生活に疲れてかつての郷里に戻って来た主人公は、そこで民宿を始めようと、思考錯語を始めます。
そんな彼を取り巻く人々と町の情景に、何やら影が落ちています。
遠い昔にあった事件、そこから生じた心の傷、それぞれの登場人物が何かを抱えています。
とはいえ暗い空気ばかりではなく、主人公は前向きです。
民宿の準備の傍ら、スキューバダイビングのライセンスにも挑戦します。
漁師たちと夜の憩いは描写が見事で、実際にそこにいて一緒に飲んでいるように錯覚してしまいました。
作者様のいつも丁寧で綺麗な言葉には目を惹かれますが、それは本作でも健在です。
これからどのようにストーリーが展開してくのか、楽しみです。