この解決屋の仕事は、星3つでは足りない

AIエンジニア・アキトの生活を支えるのは、完全自律式のドローン型AIエージェント・メメ。起床時の健康状態を教えてくれたり、やるべきことをアナウンスしてくれたりして、何かと頼りになります。ちょっぴり辛辣なところはご愛嬌。
フルリモートでできるフリーランスに転向してからの最初の依頼をもぎ取るべく、メメが提案した広告が呼び込んだのは、ネットの拡散で起きたミームトラブルの案件で――

AI音声認識アシスタントや生成AIなど、話しかけるだけで人間の要求を叶えてくれる便利な技術。その恩恵が得られなかったころの生活を思い出すことは、今や難しいものになってきているでしょう。
SFのジャンルである本作の世界観に、現代社会が追いつくのも時間の問題かもしれません。どきりとしてしまう現実味は、年代問わず深く刺さりそうです。

ミームって何ぞ。トラブルシューターも分かるようで分からないかも。そんな状態で読み始めた私でも、専門用語やカタカナにくじけることなく読み進めることができたのは、うまく謎と向き合わせてもらいながらキャラの個性にくすりとさせられる素晴らしい構成のおかげだと思っています。

素材は良いにもかかわらず自分の見た目に無頓着な三十代男性・アキトと、「我が主人〈マスター〉」呼びながらも辛辣可愛いメメの織りなす絶妙な空気感がたまりません!

すずめさまの描かれる歴代除霊ものバディ作品はどれも最高でしたが、こちらのSFエンタメ短編連作も令和を代表する名作として強くおすすめしたいです!