リコーダーと自己省察

第1話

ボクはリコーダーが苦手だ。

リコーダーもだし、楽譜が読めない。

丸ぽちが線の何個上にあるときにこの持ち方で穴を塞いで息をしっかり吹きなさいって。

マルチタスクにも程があるよ。

それが断続的に続くんでしょ。ハーモニーを奏でるため？音楽祭で多くの人が聴くから？

知らないよ。ボクはこんなのやりたくないんた。不貞腐れてるように見えるって？

ああ、ボクは音楽は好きなんだよ、勘違いしないで。何が好きなのって歌うことだよ。リコーダーはリコーダーの声しか出せないけど。ボクは変声期迎えてないから高音だったらリコーダーに負けないよ。それどころかリコーダーを超えるくらい感動させられるんだよ。

リコーダーはマルチタスクだから集中力が削がれちゃう。だから下手なんだし感動させられないんだと思うよ。声なら何をいえばいいかってだけ。大きな声で歌えばいいからさ。

あーあ、音楽祭じゃなくて合唱祭が良かったな。リコーダーは一音ずれたら犯人探しになるけど歌だったらやる気とか態度で加点されるから。ボクの得意領域だ。

リコーダーやりたくないから音楽祭休みたいな。でも熱出したって言えるのは本番だけ。全体練習する日も熱出したとは言えないな。だったら練習したなら本番やった方がいいよね。でも今日はリコーダーやりたくないんだ。

先生！ボク、リコーダーしたくないです！って言えたらいいのにな。いや、どうだろ、音楽の先生が音楽することを否定するわけないか。

ボクの味方はボクと同じくらいリコーダーができないクラスメイトたち。正直ボクより下手かもしれない。ボクがこの場所でやる気を出すとしたら。リコーダーやりたくない軍を創立することより、リコーダーやりたくないけど音楽祭を乗り切るために仕方なく頑張る軍を創立することかな。

ボクより下手ならボクは教えることがありそうだ。音楽の先生は1人しかいなくてリコーダー上手い人達に時間を割いて、リコーダー下手なボクらには居残りという名目で教えてくれる。それが余計にやる気なくす。先生がいないならボクが先生代わりだ。

指揮を出す！リコーダーやりたくないけど音楽祭乗り切るために頑張る軍よ！

まずはチャルメラからやってみよう。これならボクでもできるし、運指わかる。

でも遊んでるって怒られるかもしれないね。下手な人達が遊んでるってさ。先生が来たら１回言ってやるんだ。ボクのリコーダーに対する気持ち。

ボクはリコーダーが苦手です。それでも音楽祭に参加するためにリコーダーを扱えるように遠回りで練習してるんですって。課題曲やるのは近道じゃないんですって。

さあリコーダーやりたくないけど音楽祭乗り切るために頑張る軍よ！反旗を翻してリコーダー上手い人達を見返してやるんだ。