それで、私と私が会えたなら
@A01Yu2
プロローグ
...
...痛い。意識が体から抜け落ちていく感覚に襲われた。
...後ろにいるはずの人は...誰なんだっけ...?朦朧とする意識で、そんな事も忘れてしまった自分を情けなく思う。忘れてはいけないということだけを覚えている。...最期に顔くらい見せて欲しいモノだと感じながら、感覚に委ねて意識を手放してしまった。
...
ああ、まだ覚えてる。私の...名前は———
「モト」
—
幾度の呼びかけが聞こえただろうか。夢の中でも声を聞いたような気がする。
「モト...。」
男、モトと呼びかけられた青年の睡眠欲はその名を呼ばれすぎて根を上げたらしく、目を開いて声の主を探すように首をずらしていた。
...姉がいたのか。瞼をこすりながら応答する
『姉さん...何か用?』
その声があまりに間抜けだったのか、或いは声がしたことそのものに驚いたのか。姉は目を見開いて私を見ていた。ああ、まるで霊でも見たかのような、そんな失礼な表情だ。表情に出ていたのか、直ぐに姉は表情を繕ってこう言う。
「あっ...ごめん!ずっと起きないから、急に起きたのびっくりして...いや...そんなことより無事で良かったよ...っ!」
なんの話だろうか。心当たりを探って、そこでようやく気づく。私には今。ここ数日の記憶が無い。と言うことに。
それで、私と私が会えたなら @A01Yu2
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