冒頭を読み始めた方────
風邪をひいた進ちゃんに、父が絵本を読み聞かせる──
……だけの物語?
いやいや、この作者さんがそんなはず、ありませんって!
タイトルに白々しく“婚約破棄”とか書いてありますけど、
もう最初から最後まで、
“テンプレ”とか“ジャンル”とか、分類という枠に
収めようなんて気がまったくない作品 です。
正直に言います。
この物語を私の文章力でまとめて語るなんて、不可能です。
だから、もし紹介文が読みたいなら──
他の人のレビューを読んだ方がいいです。(オイ!作者さんに叱られんぞ!)
「切ないのに温かくて、悲しいのに救いがある物語」
なんて、そんな上品な一行で片付く作品じゃありませんよ。
まず、「揚羽党」「闇黒阿片」「カラクリ人形」……
次々と叩き込まれる謎の連続。
しかも新選組サイドは完全に“コメディ担当”。
序盤は 幕末×怪異×逃避行ロマンス。
そこから突如、
陰謀劇 → サスペンス → ホラー → 幕末版ミッション:インポッシブル へ一直線。
読者は常に、
「え、なにこれ?なんかずっとヤバいものに巻き込まれてない!?」
という不安と笑いを同時に味わい続ける羽目になります。
そして極めつけは、
高名な絵師のくせに画力がアレすぎる“蠣崎”。
そこへ突然流れ出す謎の童歌──
『イルカヤ…ネルカヤ…カエルカヤ…』
このあたりから、もう紹介文をまとめる気が失せましたw
歴史ディテールの正確さ、
ドラマの巧妙さ、
キャラの正体に隠された伏線……
張蔵は?
蠣崎は?
琴絵は……一体誰?
読み終わっても頭がずっと旅を続けている感じ。
──ほ~ら、やっぱり。 紹介文を書くなんて無理だったでしょ?
それでも心に残るんです、なぜか、この物語は。
ニーチェがそんなことを言ってた気がします。
小海倫様のシリーズ作品を読ませていただくと、この言葉が浮かびました。
肉体と魂は密接な関係にあると思います。
『我思う、ゆえに我あり』
浅はかな、考え方です。
思わなくても、居るんです。
証明しなくても、存在するのです。
進ちゃん。
数奇な運命に翻弄された、シリーズの主人公。
彼女の生き方、そして、ふと現れる言動を聞くと、
『魂は肉体のオモチャに過ぎない』
これは、真理だなと思います。
肉体が魂を作り出す。
そして、魂は決して、死ぬことは無い。
皮肉かもしれませんが、
本体の肉体は滅びても、魂は滅びはしないですよね。
魂。
それは、熱い思いなのだと思います。
幕末が好き、という人は佐久間象山を知ってもその息子が何をした人かは知らないだろう。そんな彼が新撰組にいたことも。
そんな「誰?」という三浦啓之助がとある女性と駆け落ちして新撰組から脱するところから物語は始まります。
新撰組の追手、瀬蓮張蔵(せばすちゃんぞうw)に謎の組織。そして駆け落ち相手の秘密とは…!?
最後は大団円の外伝作品。
前作を読んでいる人は是非今作も
読んでいない人は是非これの後に
読めば世界が広がります。
それにしても本当に小海倫先生はまだ手垢がついていないところを見つけるのが本当に上手。
まさに司馬遼太郎大先生が坂本龍馬を見出したように。
次回作はどんなところを切り開いていくか楽しみです♪
そんなわけないだろう。ははあ、あのバラガキ、そんな適当なこと言って、どこぞの娘さんを……って思ってたら、気がついたらそのいいなずけ、何かちがう人と駆け落ちしてる!?
そして、そんな駆け落ち行脚を追っていく、謎の男・瀬蓮張蔵《せばす・ちゃんぞう》。
いやいや、誰だお前って言いたくなりますけど、みなさんよく知っている人です。
そんなこと言っているうちに、蠣崎兵六《かきざき・ひょうろく》という漂泊の絵師も出てきます。
というか、令嬢も駆け落ち相手も瀬蓮張蔵も蠣崎兵六も、実は新撰組好きなら知っている人です。
いったいこの人たちは、「誰」なのか。
そしてそして、この駆け落ちの行きつく先は。
あっと驚くどんでん返し。
もう一度冒頭を読み返したくなります。
ぜひ、ご一読を。
物語は、波止場の木枯らしとヴァイオリン演歌の音色に包まれた、どこか懐かしい序章から始まります。
ほんのりと西洋の匂いが混じる明治横浜の空気が、読者をしっとりと物語へ誘い込見ます。この一幕が、後に続く激情の幕末譚への見事な布石となっています。
小海倫さまは、人物同士の感情の揺らぎを「言葉の温度」で巧みに描く。
琴絵が土方歳三の頬を打つ冒頭の一行は、乾いた音とともに、読者の胸を鋭く打ち抜きます。そこから一気に、湿り気を帯びた京の空気、怒りと羞恥が入り混じる琴絵の心情が迸り、読み手もまた彼女の身体を通して物語の熱を感じることができます。
啓之助との出会いの場面では、歳三の冷たい刃のような存在感と、啓之助の柔らかな温もりが鮮烈な対比となって浮かび上がる。ここで初めて「駆け落ち」という言葉が響いた時、読者は琴絵の衝動に共鳴しながら、幕末という時代の奔流をも肌で感じます。
筆致は華やかでありながら、軽いのもでもはなく──
古風な言い回しと現代的なテンポを織り交ぜ、舞台が回転する芝居のように、場面が流麗に転じていきます。
まさに「読ませる力」を持つ作品。
この幕末浪漫劇は、激動の時代を駆け抜ける若者たちの熱情と、逃れられぬ運命を描いた、血と涙と恋心の詩です。
読み終えたとき、胸にきっと琴絵の叫びが、燃えるように残ることでしょう──
『幕末 勘違い令嬢走る!』
本作は正にその通りなのですが、この主人公であるヒロイン、行動力がヤバいです
それが非常おもしろく、お話を引っ張っていくのですが……全体的に非常にスムーズに時代考証と、歴史的に不明瞭な部分を極々自然に繋いでいます
そうした背景の描き方の上手さもあり、ただの突拍子の話ではなく、一つの物語としてしっかり完成してします
とはいえぶっとんでるのヒロインだけではないですが
なんでやねん! と心の中でなんどツッコミをいれたことか'`,、('∀`) '`,、
中盤から話が大きく動く本作ですが、語り口が軽妙でいながら、時代的な色合いが魅力的に描かれていて、とても入っていきやすいのです
なので個人的にはこちらを読んでから本編へ、というのもオススメでした!
そして本編は本編でガッツリめで凄いですよ
土方歳三に婚約破棄された(?)令嬢・琴絵。彼女が選んだ次の一手は――まさかの駆け落ち!?
破天荒な行動力と、可憐さを兼ね備えたヒロインの魅力に、気づけば夢中になってしまいます。
優しくも芯のある三浦啓之助との掛け合いには、胸きゅんとクスッと笑える軽妙さがありつつ、舞台は幕末。緊迫した時代背景のなかで繰り広げられる、恋と旅路の行方にぐいぐい引き込まれました。
丁寧に描かれる情景やキャラクターの口調が自然で、物語の世界にすっと溶け込める読後感です。
軽妙なやりとりと時代劇の絶妙なブレンド。
歴史+恋+冒険のバランスが心地よい、そんな物語を探している方におすすめしたい一作です!
歴史もの?って聞いたら堅いイメージを持たれる方もいらっしゃるはず。
いいえ、そんな事はありません!
こちらの作品は、多くの方が知っている新選組を題材にした、とても読みやすいお話。
ラブコメ感を持たせつつも、しっかり刀での立ち回りもあり、時代を的確にとらえ、話し口調などそれぞれのキャラクターが個性豊かに描かれています。
後日談までしっかり描かれており、綺麗にまとまっています。
こちらは番外篇ですが、本篇を知らなくても問題なく楽しめます。こちらから入って本篇へ、もありですよ。
あなたはこの「ヒロイン」惚れちゃいませんか?危険ですよ?
おすすめです!