時代を超える約束――“もう一度めぐり逢う”幕末ロマン

 小海倫様の『幕末 勘違い令嬢走る!』は、幕末という激動の時代に“魂のつながり”を描いた、優しくも深い物語です。

 最初は恋と別れの物語として軽やかに始まりますが、読み進めるうちに、登場人物たちの心の奥にある記憶や宿命が少しずつ姿を現していきます。琴絵=山崎烝という真実が明らかになるとき、愛とは何か、人の心とはどこまでひとつになれるのか――そんな問いが、静かに胸に広がっていきます。

 そして迎える結末は、涙とともに温かい光を残すような美しさ。時を越えて再びめぐり逢う魂の物語として、そっと心に触れてくる一冊です。幕末の浪漫を愛する方にも、転生譚が好きな方にも、きっと深く響くでしょう。

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