ふたりの夏にさようなら

土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり)

君がいた夏

『ひと夏の恋』


「ねえ、この夏いっぱいしか、ここにいられないって本当なの?」

「ボクの今の仕事はライフセイバーだからね。夏が終われば他に仕事を探さなきゃ」




『君といつまでも』


「アナタとお別れだなんて、ワタシそんなのイヤよ!」

「ボクだって本当はイヤだよ。キミともっと一緒にいたいよ」




『星に願いを』


「あ、ほうき星。あの星にお祈りしたら願いがかなうかな」

「そうだね。お祈りしよう。二人がいつまでも一緒にいられますようにって」

「うん」




『メテオ』


「ちょっと、あの星なんだか大きくなってるけれど大丈夫かな」

「なんだかヤバいぞ、アレ。衝撃波が来るかもしれない! 耳をふさいで口を開いて反対向いて伏せるんだ!」

「ええ!?」

「いいから、早く!」


バ――――――――――――――――――――――――ン!!!!!




『Gravity of Love』


「小惑星の大気圏通過の影響はどうだ」

「衝撃波による被害はそれほど大したことがないのですが、大質量接近の重力の影響で地球の自転に大きな異常が発生しております」




『Around The World』


「自転が速くなったり遅くなったりして一日の長さに変化でもあったのか?」

「いいえ、自転周期には問題ありません。ですが、本日の日の出の時刻と南中の時刻と南中高度が昨日のものと全く同じでした」

「それはいったいどういうことだ!?」




『終わらない夏』


「自転軸が公転面に対して約23.4度をたもったままでなおかつ太陽の中心軸に向かって同じ角度を保ったままで公転しています」

「まだるっこしい! 要するにそれはなにを意味するんだ!」

「このまま北半球はずっと夏が続き、南半球はずっと冬が続くことになります」

「なんだって!!!」




『Endless Love』


「あの星に願いをかけてお祈りしたときは、こうなるとは思わなかったわ」

「そう……だね」

「またあの星が近づいてきてるって」

「じゃあ、夏が…そろそろ…………終わる……の…かも」

「アナタとお別れだなんて、ワタシそんなのイヤよ!」

「キミには……感謝………しか…ない……。『ひと夏の恋』……と、『生涯の愛』……を、六十年間、ありが…と……う」


ピ――――――――――――――――――――――――

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ふたりの夏にさようなら 土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり) @TokiYorinori

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