ああ、今日も僕は、この霧の中のような糸のもつれに絡めとられて……

「母性」を象徴するイメージの一つに「蜘蛛」があるといいます。
その脚で卵を護り、害虫を狩り、そして糸を通して天へすらとどく神話を持つ「蜘蛛」
けれども、卵が孵り、その脚のなかから離れようとしたとき、その牙は、脚は、糸は、神聖なる賢き存在でいられるのでしょうか……。
「もつれ」というこのタイトル、読後にふたたび見直せば、なんとも怖ろしく、哀しい。

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