どちらの世界でもお母さんは幸せなのでは( ゚д゚)

考えてみると何とも陰惨でやるせないお話なのに、状況のあまりの不可解さのために、恐怖や悍ましさを感じる前に頭がくらくらとしてきます。僕の激情が発火点を超えた世界、母の狂気が堰を超えた世界、その二つの異なる世界が閉ざされた家の中でもつれ合いつづけます。一体どちらが現実世界なのか、決着がつくことはありません。あいまいな状態の中で、もやもやと思いきれず、あるいは喜びをかみしめつつ、ふたりは時を超越してたゆたい続けるのでしょう。

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