初めてのジャンルに毎年挑戦しておられる作者さまです。
一昨年のアイカノ(SF)、昨年のすずなり(ホラー)に続いて、今回は初めてのミステリー!
刹那さまと一緒に毎年新しいジャンルへとのチャレンジ、リアルタイム性はカクヨムの楽しみ方のひとつです!
読む前にやっぱり気になってた。
初めてのミステリーとして、ミステリーらしくはあって欲しいけど、この人しか書けない作風がなくなってしまったら、きっと読む意味を見失ってしまうだろうなって。
だって世の中にはすでに書籍化されている古典が無数にある。らしさがないなら、もうあるベストセラーを読めばいいから。
逆に「らしさ」があるんだったら、そのリアルタイム性って古典にはない魅力です。
作者といっしょに冒険したい。web小説は生き物なんだ。
そして冒頭読んですぐ、あっ「らしい」って思いました。
フレーバーが違っても「この人が書いた」って分かるのは、三作追いかけて初めて気付いた面白さ。洋画みたいな序盤の疾走感や、家族の再生っていうテーマ、目に見えない恐怖、ミステリーなんだけどアイカノを感じるし、すずなりを感じる。
ミステリーとしても面白かった。
ノックスの十戒とか、トリックとか、ミステリーのあれこれは難しくて分かんなくても、謎解きが始まると「ああっ!」なる感じ。あれがちゃんとある!
それも解答の一話前で気づいて「自分で気付いたように錯覚させてくれる」のがよかった!
病を通じて絆が深まるなんて不思議。
身近な人のことですら、本当の意味では何も知らない。信じたり、騙されたり、大変だけど一人では生きられないね。
仕事の合間に読んだら、一日で一気読みしてしまいました。
最後まで読んで、あの穏やかな花見のシーンが、私の中で物語の時系列が反転しました。
私が最も感嘆したのは、AIチャットボット「リリィ」の扱いです。 莉乃が好きな人を尋ねた際、AIが返した「バンダリオンさん」という回答。 作中では誤作動として笑い飛ばされ、私もそのまま流してしまいました。
ところが終盤、17年前のネームタグに刻まれた「V*******N(ネタバレ防止)」の文字を見た瞬間。 あれは最初から真実を告げていたのだと悟りました。
バグだと思っていたものが、実は物語の核心だった。 この仕掛けには唸らされました。
朔夜零司というキャラクターの配置も巧みだと感じました。 「イケメンで優しいOB」「先生との禁断の恋」という表層に私の意識が向いているあいだ、彼が何をしていたのか。
読み返すと、GPSや家具搬入といった不穏な行動がさりげなく描かれていたことに気づきます。 私は完全に「恋愛もの」のフィルター越しに彼を見ていました。
また、スワンボート上の告白シーンと地下トンネル侵入シーンの緩急の設計にも惹かれました。
「静止した巨大な湖面」という凪いだ描写から、「ゴゴゴゴゴォォォォォーーーーーッ」という轟音への切り替え。 静と動の落差が、綾先生の告白の重さと、物語が動き出す瞬間の緊迫感を際立たせていました。
「花は真実。嘘偽りに咲くのなら、それは些細な幻想である」 この一文が、読後もずっと頭に残っています。
構成力のある素晴らしい作品をありがとうございました。
本作は、医療サスペンスとヒューマンドラマ、そして社会的テーマが極めて高い完成度で融合した、唯一無二の物語です。
狂犬病という現実に根ざした題材を軸にしながら、家族愛、倫理、信頼、そして人の「善意」と「狂気」が幾重にも重なって描かれていきます。
一見すると救済の物語に思えたものが、読み進めるほどに静かな違和感を孕み、やがて読者の価値観そのものを揺さぶってくる構成は圧巻の一言で。
キャラクターたちは誰もが人間らしく、正しくあろうとしながらも脆く、その選択一つひとつに強い説得力があります。
終盤にかけて明かされる「真実」は決して派手な展開ではないのに、背筋が冷えるほどの衝撃を残し、読後も長く心に居座ります。
エンタメとしての読みやすさと、考えさせられる深さを両立した、間違いなく記憶に残る一作です!
第二話で描かれている高校のミステリー研究部から、物語が見えてきます。
生徒に人気の可愛い先生と、明るい一年生の女子、マイペースな二年生の男子(先生に説得されて部活動をしている模様)がいて、学園祭での発表テーマについて話し合っている……どうも先生は都市伝説が好きなようで?
そこで話題に上がる、東京の地下に存在する幻の駅、というところで、わーっと持っていかれました。
何それ、気になる! と。
読み進めていくと、日常の風景が変わり始めます。
最後、人気予言者Vtuber【あいは】の言葉が、本当に怖くなります。
この物語の続きをぜひ読みたいと思いました。
僕はそこそこ都市伝説が好きです(笑)。
都市伝説の面白さというのは「視点の変化」です。それは「事実」だと思っていた事を意外なアングルで見る事で、違った形が見える事にあります。
それが正しいかどうかは別問題(ここ重要)。
その「視点」の面白さを楽しむものです。
だから「信じる信じないはあなた次第」という訳です。
ゆえに都市伝説とは、エンターテインメント小説と相性がいいのです。
どんな切り口で物語を紡ぐのか、目新しい視点として読者の興味を引く導線が「都市伝説」という素材により既に確保されているからです。
さて本作です。
東京の地下に存在する幻の駅と予言が当たると大注目される人気予言者Vtuber【あいは】――その謎……。
という導入です。
楽しみ方は二つ!
ひとつはエンタメ小説として一気に読み進める事。
もうひとつは物語に隠された「コード」である情報の精査をしながら、全体像を理解する事。
どちらの読み方をしても、鮮やかなエンディングに舌を巻く事でしょう。
例えるなら洞窟を歩くのに似ています。最初は徐々に進んで、曲がり角などで進行方向に頭を迷わせつつ、奥に進めば進むほど険しさが増し、一気に落下してとんでもない場所に辿り着く。
そんな「冒険」をこの都市伝説小説で体験出来ます。
最後に、小説の楽しさは登場人物達が生み出すケミストリーです。ここに登場する人物達全てが生み出すケミストリー、その面白さが都市伝説的要素により「魅力的に倍加」してゆく様を読者は目撃する事になります。
お勧め致します。
一見するとマニアックな材料である「都市伝説」。それを見事にエンタメ小説にカテゴライズさせる事で、驚く効果と巧妙な演出を生み、爆発力のある「真実」と「結末」に到達できます。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
冒頭から一気に心を掴まれて、ずっと「この先で何が起こるのだろう」と続きが楽しみでならない作品でした。
プロローグの段階で、「あいは」という人気Vtuberによって世界が滅ぼされそうになったこと。そして「ラヴィーズ」なるものがタブーになっていること。まるで「悪魔」のような存在がいたらしいと示唆され、過去に何かがあったらしいことが見えてくる。
そして時は遡り、高校のミステリー研で活動する颯馬や莉乃、顧問の綾先生らの物語が紐解かれる。最近は「上野の地下で活動する秘密結社がある」という都市伝説もあるらしく、颯馬たちはその詳細を探ることに。
この辺りの道具立てがもうとにかくワクワクしました。「東京の地下に眠る謎」や路線の話、上野の不忍池の話。
東京の地下や歴史の話というと、昨年ヒットした『都市伝説解体センター』だとか、二十年ほど前に放映されていたProduction.I.Gの『御伽草子』とかでも取り上げられていたのを思い出します。
身近な場所にはひそかに思わぬ『闇』が眠っているかもしれない。そんなロマンと共に紐解かれる謎がとてつもない魅力を醸し出してくれます。
ストーリーを追う中で見えてくる、颯馬や莉乃にまつわる秘密。二人がやがて知ることになる自身の宿命。謎めいた『ラヴィーズ』や『あいは』の謎。
複数の要素が絡み合っていき、手に汗握るような展開にずっと心を掴まれっぱなしになります。
颯馬と莉乃のこれからはどうなっていくのか。プロローグで提示されていた「世界の危機」とはなんなのか。
壮大で切実で、強く読者の感情を揺さぶってくれるストーリー。一気読み必至の傑作です!
東京の地下には幻の駅がある。知っているけれど、見たことはない。
必ず当たる予言者Vtuberがいる。つい見ちゃうけど、なぜ当たるのかわからない。
身近にあるのに見たことがない、わからない、だからこそさらに増していく興味。この作品には、そんなねたがゴロゴロしています。ミステリーファンを引き付けること間違いなしです。高校のミステリー研究部、車内からちらりと見える地下鉄廃駅、学校を自宅改装してしまう美しき先生、生後間もなく消えた赤ん坊、地下施設での監禁、秘密結社。
それらの謎を縫うように、不穏な計画がうごめき始めます。その計画の発端にはかつての事件が深くかかわっており……
終盤、いくつもの伏線が一気に網目状に繋がっていくさまは壮観です。