概要
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!どれも心を鷲づかみ!
いつもは不良小説や三国志パロディを主戦場としている亜咲加奈さんが、この夏に一心不乱に書いていた純文学短編集です。
どれもとてもいいです。加奈さんの純文学は、どれも人間の情念がジトーっと現れていて、読んでて苦しいところもあるのですが、しかし読まずにはいられない強く握力を持っています。ただ、どれもラストは明るめで心の救済に繋げている印象で、読後感は悪くありません。
わたくしが一番好きなのは、やはり「炎天下の化け物」でしょうか。忙しい日常と、義母の理不尽な要請を受けて、疲れ切って、早く解放されたいと願っていたところを、「ヘンな女」と思っていた芽衣の本質に触れて、最後に寄り添ってしまう、その心…続きを読む - ★★★ Excellent!!!夏のじっとりとした、まとわりつくような熱気とともに
登場人物全員が何かしら抱えるものがあって、不健全な印象を受けるのが、実にリアリティがあり、心に引っかかるようにして重くのしかかってきます。
そんな薄っすらと作品全体に漂う負のオーラが、より濃く渦巻く「芽衣」さん。
実にいいキャラしてます。
前評判が完全にダメ人間のそれな印象でしたが、いざしっかりと見てみると……実に強い。
そして、めちゃくちゃ立派な人だとも思いました。
悪辣なものの表現が実によく描けた、それでいて最後にふっと腑に落ちて心地よいものが感じられる、何とも読了感の良い作品でした。
決して万人受けする作品ではありませんが、是非とも読んでもらいたい一作品です。