それでも、生きていた

もめん

それでも、生きていた

はじめての世界吸いこむその肺に雲より軽い祈りが宿る


何もかも大切だったあの頃はいのちの無い手も抱きしめられた


ありません、に丸をつけた誰の事声を持たないあの子が透ける


包丁がふれてりんごは口ひらく赤は流れず生が物になる


"種なし"と立派なシールを付けられた午後6時の棚葡萄が眩しい


水の舟揺られる小さなともしびようまれぬままの春を抱いて


あの頃の母は居ないと気づいた日めくれた布団直す手は無い


昔から変わらぬ笑顔みせながらあなたの身体管管管管


とっぷりと時の畔で眠る君白い布団の天地は逆さ


亡くなった貴方を想い願う星実はどこかの鮭の星かも

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それでも、生きていた もめん @momenmen

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