喉越しのよい、さっと読めるような短歌も多い中で、何度も反芻しながら言葉をほぐすことで広がる作品が多い印象でした。初めのうちは「どういうことだろう。」と考えながらも、自分の脳内と作品の解釈がピタッとハマる瞬間があり、その折り合いこそが短歌の魅力であり、ラグジュアリーな時間の使い様なのかもしれないと思いました。
特にアンテナに引っかかったのは『見るknife〜』の危うさと一途さ、『雨は泣く〜』のそれぞれの世界や自然に対する在り方、『もしこれが〜』のネット文化と現実のシンクロ具合。
『ラーメン屋〜』や『今日も〜』は短歌の作り手としての在り方も作者様に教えてもらえた様に感じました。『スロウカーブように夕暮れ』なんて素晴らしい文字のレイアウトでしょうか。
何度も噛み締めるように読むと作品一つひとつの味わいが豊かに広がっていくようで、美味しかったです。